自由民主党シャドウ・キャビネット

自由民主党シャドウ・キャビネット

自由民主党シャドウ・キャビネット（LDP Shadow Cabinet）は、2010年9月22日に設立された自民党内の政策決定機関である。この機関は政権奪還を目指すために構築され、党の政策における権限を持った組織として位置づけられていた。自民党が次回の選挙で勝利し、政権に復帰した際、シャドウ・キャビネットは2012年に廃止された。

概要

シャドウ・キャビネットは、与党に対抗するための組織として設けられ、内部での政策決定が行われる。党総裁は「影の首相」として位置づけられ、党政務調査会長は「影の官房長官」を担った。また、影の閣僚は党政務調査会の各部会長が務め、その数は内閣法で定められた閣僚定員に従い17人と定められた。シャドウ・キャビネットは、週に1回程度の「閣議」を開催し、政策について議論を行った。

これは、過去にも日本社会党や新進党、民主党などが行なってきた影の内閣を模した政策決定機関の試みの一つであり、政権担当経験を持つ野党がこのような形で影の内閣を組織するのは日本において初めての取り組みであった。自民党の谷垣総裁はこれを「日本初の本格的なシャドウ・キャビネット」と位置づけていた。

沿革

自由民主党は2009年8月の衆議院選挙で敗北し、翌年からは野党となった。新たに党総裁に選ばれた谷垣禎一は、政権奪還のために影の内閣を作る必要性を強調し、党の政策決定機関の改組について党内で検討を重ねた。

2010年4月には、選挙対策本部の下に政権奪還に向けた「政権力委員会（ネクスト・ジャパン）」を設置し、党内の各分野ごとのリーダーが集まり、それぞれの政策をメディアで積極的にアピールする役割を担った。しかし、この政権力委員会は試行段階だったため、2010年7月の参議院選挙後、さらに検討を進めて正式な機関に移行する予定であった。

同年7月の参議院選挙では自民党が改選議席で第1党となり、自民党は9月に政務調査会との統合を決定。9月21日には影の閣僚名簿を発表し、翌22日にシャドウ・キャビネットを発足させた。この設置により、重複する機能を持つ政権力委員会と政権政策委員会は廃止された。

その後、2012年10月には安倍晋三が新たなシャドウ・キャビネットを発足させ、さらに政治活動を強化していった。

閣僚名簿

シャドウ・キャビネットには、幾つかの政務調査会の部会長や党の中心メンバーが選ばれ、「影の官房長官」や「影の大臣」といった役割が設定された。谷垣禎一が最初のシャドウ・キャビネットを発足させた際には、この体制が党の現場でどのように機能するかが注目されていた。

このように自民党シャドウ・キャビネットの設立は、日本の政治において新しい試みであり、影の内閣を組織することによって自民党は効果的に政権を掌握するための基盤を固めようとしたものであった。

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