自衛隊の階級

自衛隊の階級について

自衛隊の階級は、創設期から現在に至るまで、その制度が変遷してきました。ここでは、自衛隊の階級制度の歴史的背景と、現在の階級制度について詳しく解説します。

自衛隊創設に至るまでの変遷

第二次世界大戦後の混乱期

第二次世界大戦の終結により、旧日本軍は解体されました。その後、日本の再軍備を目的として、警察予備隊が創設されました。しかし、当初は軍隊ではなく警察組織という位置づけであったため、階級も旧軍とは異なるものが用いられました。

警察予備隊（1950年 - 1952年）

警察予備隊では、「警察士長」が現在の3等陸佐に相当する階級でした。また、「警察監」には、現在の陸将に相当する総隊総監たる警察監と、それ以外の職に就く警察監の区分がありました。ただし、警察予備隊には、陸上自衛隊の准陸尉、陸曹長、3等陸士に相当する階級は存在しませんでした。

保安庁保安隊（1952年 - 1954年）

保安隊の階級は、警察予備隊の階級制度を一部引き継ぎ、正・士・補・査などの名称を用いていました。保安監には、第一幕僚長などの長官が定める職に就く保安監（甲）と、それ以外の職に就く保安監（乙）の区分がありました。

海上警備隊（1952年）

海上警備隊では、警察予備隊と同様に、旧軍とは異なる階級名を用いていましたが、警察予備隊の階級と似た名称を使用していました。また、最下位の階級として3等海上警備員が、尉官の最下位として3等海上警備士が設けられていました。佐官の最下位は海上警備士長ではなく、3等海上警備正でした。海上警備監には級の区分はありませんでした。

保安庁警備隊（1952年 - 1954年）

警備隊の階級は、海上警備隊時代と似た名称を用いていました。警備監には、第二幕僚長たる警備監と、それ以外の職に就く警備監の区分がありました。

自衛隊の階級制度

現行の階級

現在の自衛隊では、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊それぞれに、将を最高位とする16の階級が定められています。階級名称は陸海空で対応しており、将の階級を除いて略称が同じです（将補、1佐、2佐など）。3尉以上を幹部自衛官とし、将、将補が高級幹部、1佐、2佐が上級幹部、3佐、1尉が中級幹部、2尉、3尉が初級幹部となります。さらに、准尉、曹、士の階級があります。

階級の新設と廃止

当初は15階級でしたが、1970年に准尉、1980年に曹長が新設されました。また、2士の下に設けられていた3士は、2010年に自衛隊生徒制度の改正に伴い廃止されました。

昇任

自衛隊の昇任には、階級ごとに必要な在職期間が定められています。昇任は、勤務評定や職務上の功労、殉職などの状況に応じて短縮されることがあります。また、退職時に勤務成績が優良な場合や、公務負傷による退職の場合には特別昇任が行われることもあります。

予備自衛官等の階級

予備自衛官、即応予備自衛官にも階級が与えられ、階級名の冒頭に「予備」または「即応予備」と付けられます。予備自衛官は予備1佐以下、即応予備自衛官は2尉以下の階級となります。予備自衛官補は、訓練終了後に階級が与えられ、技能公募では予備2佐以下、一般公募では予備2士となります。

階級の表記

自衛隊法では階級に用いられる数字は漢数字で表記されていますが、公文書ではアラビア数字が用いられています。

各階級の詳細

将官

将官には、将と将補の2つの階級があります。将の中でも、統合幕僚長および各幕僚長たる将は、事実上別格の扱いを受けています。将は中将に、将補は少将に比されることがあります。しかし、これらは対外的な便宜上のものに過ぎません。

佐官・尉官

佐官・尉官は合わせて6段階に分かれています。1佐は57歳、2佐・3佐は56歳、尉官は55歳が定年です。1佐は、俸給表において3段階に細分化されています。

曹・士

准尉に加え、曹については4段階、士については3段階に分かれています。曹長・1曹が55歳、2曹・3曹が53歳で定年となります。士は任期制の隊員であり、自衛官候補生の3ヶ月に加え、陸は1年9ヶ月（技術職は2年9ヶ月）、海空は2年9ヶ月の任期となります。

最先任下士官制度

曹士の能力活用のため、各部隊で最先任下士官制度が導入されています。これは職務であり、階級とはなっていません。

今後の展望

自衛隊の階級制度は、時代とともに変化してきました。今後も、国際的な連携や部隊の運用状況に応じて、見直しが行われる可能性があります。

まとめ

自衛隊の階級制度は、その歴史的背景と複雑な構成によって特徴づけられます。この記事が、自衛隊の階級制度を理解する一助となれば幸いです。

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