興正寺

興正寺：歴史と信仰の軌跡

概要

京都市下京区花園町に位置する興正寺は、真宗興正派の本山寺院です。円頓山を山号とし、阿弥陀如来を本尊として祀ります。西本願寺の南隣に隣接しており、その規模の大きさと荘厳さから、一見すると西本願寺の境内の一部と見間違えるほどです。明治9年(1876年)に真宗興正派として独立する以前は、西本願寺の脇門跡でした。現在も門主である華園家が住職を務めています。

歴史

創建と伝承

興正寺の創建は諸説ありますが、寺伝によれば、親鸞聖人が建暦2年(1212年)に山城国山科郷に創建したと伝えられています。その後、順徳天皇から「興隆正法」の勅願を賜り、寺号を「興正寺」と改めたとされています。しかし、この説には異論があり、一般的には越後からの帰還後、親鸞聖人が関東へ向かったとする説が有力です。

実際には、元亨元年(1321年)頃、第7世了源が京都五条西洞院にあった親鸞聖人の住坊を移転・拡張して寺院としたとする説が有力視されています。了源は関東の荒木門徒に属しており、親鸞聖人の京都帰還説も同門徒が主張していたものと推測されています。

嘉暦3年(1328年)頃には、了源が教化活動の拠点を洛東の汁谷(現・京都国立博物館周辺)に移転させ、「阿弥陀佛光寺」の勅号を後醍醐天皇より賜っています。この寺号変更には、後醍醐天皇の夢と、盗まれた阿弥陀如来像の発見という霊験が関わっているという説もあります。

その後、興正寺は隆盛を極めましたが、応仁の乱で諸堂を焼失するなど、幾多の困難を経験しました。

本願寺との関わり

文明13年(1481年)、第14世経豪が本願寺第8世蓮如に帰依し、佛光寺の末寺42坊と共に本願寺派傘下に入りました。その後、山科本願寺の南隣に興正寺を再建しましたが、天文元年(1532年)の山科本願寺の戦いによって焼失しました。

大坂本願寺が建立された後も、興正寺は本願寺と運命を共にし、幾度も移転を繰り返しながら、本願寺と共に発展を遂げました。石山合戦にも参加し、その後天満、六条堀川と移転を重ね、現在の地に至ります。

近代以降

明治9年(1876年)、第27世本寂は真宗興正派として本願寺派から独立、東山に霊山本廟を建立しました。明治35年(1902年)には火災で本堂などを焼失しましたが、その後再建され、現在の阿弥陀堂と御影堂からなる伽藍が完成しました。2018年の大阪府北部地震では、境内が大きな被害を受けましたが、修復工事が行われ、現在も信仰の場として機能しています。

境内

興正寺境内には、阿弥陀堂（本堂）、御影堂、三門、鐘楼、経蔵、宗務所（教化センター・リテラス併設）など、多くの建造物が存在します。これらの建物は、歴史的価値が高く、多くの人々を魅了しています。かつて存在した興正会館は耐震性の問題から解体されました。

歴代門主

興正寺には、親鸞聖人をはじめ、多くの著名な門主がいました。詳細は『真宗法脈史』などをご参照ください。

アクセス

JR京都駅烏丸中央口から徒歩約12分です。

別院

興正寺には、北海道札幌市、愛知県犬山市、大阪府富田林市、大阪府高槻市、香川県丸亀市、高松市、鹿児島市などに別院があります。

まとめ

興正寺は、歴史と伝統を重んじる真宗興正派の重要な寺院です。その歴史は、親鸞聖人から現代へと連綿と続き、多くの試練を乗り越えてきました。現在も、人々の信仰を集め、地域社会に貢献しています。訪れる際には、その歴史と荘厳な伽藍に思いを馳せてみてください。

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