興龍

興龍（こうりゅう）

興龍は、中国の金朝およびモンゴル帝国が勢力を拡大していた時代に、張致（ちょうち）、字は鯨の弟が自立して「漢興皇帝」を号し、建てた年号です。興隆と表記されることもあります。

年号の考証

『元史』や『続資治通鑑』といった歴史書では、興龍の使用年代を1215年から1216年としています。しかし、清代の考証学者である銭大昕（せんだいしん）は、『廿二史考異』において詳細な考証を行い、1216年建元説を提唱しました。現在の歴史研究もこの説に従っています。

張致の叛乱

張致は、当初、金朝に仕えていました。モンゴル帝国の侵攻が激化する中で、兄の張鯨（ちょうげい）がモンゴル帝国に内通した嫌疑により処刑された後、錦州を拠点に自立し、皇帝を僭称しました。

西暦との対照表

興龍元年：1216年

干支：丙子

参考文献

李崇智　『中国歴代年号考　修訂本』（北京：中華書局，2001年1月） ISBN 7101025129
鄧洪波編　『東亜歴史年表』（台北：台湾大学出版中心，2005年3月） ISBN 9860005184

補足

興龍という年号は、短期間しか使用されませんでしたが、当時の政治情勢や社会状況を反映する重要な要素です。張致の叛乱は、金朝の衰退とモンゴル帝国の台頭という歴史的な転換期における地方勢力の動向を示す事例として注目されます。

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