舒促

舒促（じょそく）について

舒促とは、中国語の声調である四声を二つのグループに分類する音韻学的な概念です。具体的には、四声のうち、平声、上声、去声を「舒声（じょせい）」、入声を「促声（そくせい）」と分類します。この分類は、単に詩作上の規則である「平仄」とは異なり、言語音そのものの特徴を捉えることに重点を置いています。

舒声と促声の意味

「舒」という漢字は「のびる」という意味を持ち、「促」は「つまる」という意味を持ちます。この名称からもわかるように、舒声と促声は発音の長さに大きな違いがあります。舒声は、発音した音を長く伸ばすことができるのに対し、促声は短く詰まった音でしか発音できません。この違いは、音節の末尾の音（韻尾）に由来します。

音声的な特徴

舒声の音節は、韻尾が母音または鼻音で終わります。一方、促声の音節は、韻尾が閉鎖音で終わります。例えば、日本語の「か」のように母音で終わる音は舒声に近く、日本語の「カッ」のように「ッ」で終わる音は促声に近いと言えます。

具体例を挙げると、以下のような区別があります。

舒声の例:
「妈（mā）」：平声、母音で終わる。
「马（mǎ）」：上声、母音で終わる。
「骂（mà）」：去声、母音で終わる。

促声の例:
「一（yī）」：入声、閉鎖音で終わる。　
「八（bā）」：入声、閉鎖音で終わる。　
「发（fā）」：入声、閉鎖音で終わる。

舒声と促声の重要性

舒促の分類は、中国語の音韻構造を理解する上で非常に重要です。この分類を用いることで、古代中国語の音韻体系を復元したり、中国語の方言における音韻変化を分析したりすることができます。特に、中国語の大きな音韻変化として、標準音の元となった北方音で、促声が舒声化したことが挙げられます。これは、入声という音の種類が失われたことを意味します。

この変化は、現代の中国語を学ぶ上で非常に重要な知識です。例えば、日本語には、入声に相当する音が存在するため、漢字の音読みには、入声の名残が残っています。これらの知識があると、中国語の音韻に対する理解が深まります。


このように舒促は、中国語の声調を理解するための基礎的な概念であり、音韻学の研究においても重要な役割を果たしています。

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