航空機乗員養成所

航空機乗員養成所について

航空機乗員養成所は、1930年代後半に日本の逓信省航空局によって設立された、民間航空機のパイロットを養成するための施設です。この養成所は、特に郵便輸送の重要性が高まっていた当時、航空機による郵便輸送の迅速な実現を目指して設立されました。航空機の初期は、貨物輸送においてパワー不足が課題であったため、主に郵便機としての運行が重要視されていたのです。

設立の背景と目的

民間航空の業務は、1923年に陸軍省から逓信省航空局へ移管され、操縦士を養成することが重要な任務となりました。主な目的は民間機の操縦士を育成することでしたが、教育体制には有事の際の動員可能な操縦士を増やすという意図もあり、軍隊式の生活が施されました。教官の多くは予備役の軍人であり、卒業後は陸海軍の航空部隊に配属されることが多く、実質的には軍学校的役割も果たしていました。

このような背景から、生活費を工面するのが難しい庶民にとって、全寮制で無料の教育を受けられるこの養成所は非常に魅力的でした。そのため、応募者は殺到し、競争率は非常に高かったと言われています。

養成過程

養成所のコースには「操縦生」と「本科生」があり、異なる学歴を持つ生徒が選ばれました。操作生は、17歳から19歳で旧制中学校を卒業した者が対象で、8か月の期間で専門的に操縦を学びました。卒業時には二等飛行機操縦士と二等航空士の免状を取得し、予備下士官として任官されました。

本科生は尋常小学校を卒業した生徒が対象で、5年間の在学中に一般的な教科に加え、航空機の製造、整備、操縦に関する技術を学びました。卒業後は、操縦科と機関科に分かれ、それぞれ二等飛行機操縦士や二等航空士、二等滑空士の免状を取得しました。また、希望に応じて陸海軍への進学や高等学校、専門学校、大学への進学も可能でした。

養成所の種類

航空機乗員養成所には地方と中央の2種類があり、全国で15ヶ所設置されました。特に、松戸、福山、古河に設置された高等航空機乗員養成所や、仙台、米子、熊本、新潟などに設けられた地方航空機乗員養成所がありました。これらの施設は、航空機の操縦士としての専門的な育成を目的としており、陸軍系と海軍系の両方が同様に設立されました。

戦後の影響

しかし、戦後は日本が敗戦を迎え、民間航空が禁止されると同時に、民間パイロットの養成も途絶えることとなりました。その後、1954年に民間航空が再開されるものの、新たなパイロットの養成機関は設置されず、国が主導する形で航空大学校が設立されました。これは、軍学校の形式から脱却し、純粋に民間パイロットを養成するための機関として運営されています。

結論

航空機乗員養成所は、日本の民間航空の歴史において重要な役割を果たした教育機関です。アフターヌーンエンジニアの視点から、当時の航空業務の発展や、パイロット養成の必要性を理解するためにも、この機関の存在は今後の航空業界においても注目すべきポイントかもしれません。

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