航空観閲式

航空観閲式について

航空観閲式は、航空自衛隊が3年に一度実施する観閲式（軍事パレード）です。この式典は、自衛隊の創設を記念する自衛隊記念日行事の一環として開催されます。

目的と概要

観閲式の主な目的は、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣（観閲官）による観閲を通じて、自衛隊員の使命感と士気を高め、日本の防衛力を国民に示すことにあります。これにより、自衛隊に対する国民の理解と信頼を深めることを目指しています。

1996年以降、観閲式は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が持ち回りで担当しており、航空観閲式は3年に一度実施されます。陸上自衛隊が担当する場合は中央観閲式、海上自衛隊が担当する場合は自衛隊観艦式となり、航空自衛隊が担当する場合が航空観閲式です。これらの回次は通算されています。航空観閲式は1996年に初めて開催され、実施準備は航空総隊司令部総務部企画室内の航空観閲式準備室が中心となり、約7ヶ月かけて行われます。

観閲式は通常、関係者のみが見学できます。また、航空観閲式が実施される年は、百里基地航空祭（一般開放）は開催されません。

近年の実施状況

2020年度と2023年度の航空観閲式は、新型コロナウイルス感染症の影響と、観閲式に関わる隊員の負担を考慮し、規模を大幅に縮小して入間基地で実施されました。これらの式典では、飛行展示は行われず、式典のみが実施されました。

主要出席者

航空観閲式には、以下の主要な関係者が出席します。

観閲官：内閣総理大臣
主催者：防衛大臣
実施責任者：航空幕僚長
執行者：航空総隊司令官
観閲地上部隊指揮官：中部航空方面隊司令官
地上走行部隊指揮官：中部高射群司令
その他：防衛大臣政務官、参議院議長、統合幕僚長（代行：統合幕僚副長）、海上幕僚長、陸上幕僚長など

参加部隊・行事（2014年度の例）

以下は、最後に展示飛行などが行われた2014年度の第61回航空観閲式（防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式）の例です。

1. 航空中央音楽隊の演奏：「蒼空」「美中の美」「風薫る」「サーカス・ビー」「空の精鋭」などの曲が演奏されます。
2. 観閲地上部隊：
観閲部隊指揮官の入場
特別儀仗隊（陸上自衛隊第302保安警務中隊）の入場
観閲官の入場
国家独唱（海上自衛隊東京音楽隊 三宅由佳莉 3等海曹）
慰霊飛行（F-15J 4機）
観閲官訓示
訓練展示
3. 観閲飛行：21機種、10個編隊、45機による飛行が実施されます。参加機種の例としては、陸上自衛隊のAH-1S、AH-64D、OH-1、OH-6、UH-1、海上自衛隊のSH-60J、US-1A、US-2、P-3C、航空自衛隊のUH-60J、CH-47J、E-2C、U-125A、C-130H、C-1、政府専用機、KC-767、E-767、F-4EJ改、F-2B、F-15Jなどがあります。
4. 観閲部隊：百里基地のエプロンにて、中央観閲式に比べて小規模で実施されます。参加部隊の例としては、航空自衛隊中央音楽隊、航空自衛隊移動部隊、陸上自衛隊大隊（航空学校霞ケ浦校）、海上自衛隊大隊（第3術科学校）、航空自衛隊第3大隊、航空自衛隊第2大隊、航空自衛隊第1大隊などがあります。
5. 地上展示走行：ペトリオット部隊、基地防空部隊、移動警戒管制部隊、移動通信部隊、移動管制部隊、移動気象部隊、スイーパーなどが展示走行を行います。また、F-15J、F-2A、F-4EJ改がタキシングを行います。
6. 飛行展示：
緊急発進展示（F-15Jホットスクランブル 2機）
航空偵察展示（RF-4EJ偵察機 2機 低高度高速進入）
機動飛行展示（F-15J戦闘機 2機）
模擬対地攻撃展示（F-2戦闘機 2機　20mm機関砲射撃）
XC-2次期輸送機 航過飛行
ブルーインパルス展示飛行
60周年大編隊記念飛行

その他

航空観閲式の前日には、事前展示が行われますが、これも関係者のみの入場となります。
緊急発進展示では、内閣総理大臣が緊急発進のボタンを押し、スクランブルを命じます。
航空観閲式開催中も、茨城空港では民間航空機の発着陸が通常通り行われます。
* 陸上自衛隊大隊は1個大隊規模の編成ですが、自衛隊旗（通常は連隊旗として使用）を使用します。

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