般舟院

般舟院（はんじゅういん）

般舟院は、かつて京都市上京区に位置していた天台宗の寺院です。指月山を山号とし、阿弥陀如来を本尊としていました。般舟三昧院とも呼ばれていました。

歴史

創建は室町時代中期、応仁の乱の後、後土御門天皇の発願により、恵徳上人善空を開山として伏見（現在の京都市伏見区）の指月山に建立され、勅願寺とされました。しかし、文禄3年（1594年）から始まった豊臣秀吉による伏見城築城工事に伴い、西陣へと移転を余儀なくされました。

江戸時代に入ると、般舟院は禁裏道場として、御所直属の天台・真言・律・禅の四宗兼学の道場として大いに栄えました。東山の泉涌寺とともに皇室の香華院としての役割も担っていました。二尊院、遣迎院、廬山寺とともに御黒戸四箇院の一つとしても知られていました。

般舟院の敷地は、現在の嘉楽中学校の全域と、その西隣に位置する般舟院陵を含む広大なものでした。しかし、明治維新後の神仏分離令により皇室からの下付金が廃止されたことなどから、寺運は徐々に衰退していきました。明治10年（1877年）には敷地の大部分が嘉楽小学校（現在の嘉楽中学校）となり、往時の面影は失われました。

また、皇室歴代の尊牌が安置されていましたが、明治4年（1871年）にはその維持が困難となり、尊牌は泉涌寺霊明殿に移されました。般舟院の遺構としては、天明3年（1783年）に建立された正門と講堂が残っていましたが、大正12年（1923年）の関東大震災で甚大な被害を受けた鎌倉の建長寺からの要請により、建長寺へ寄付され移築されました。現在では、正門は建長寺の総門として、講堂は方丈として利用されています。

2011年11月の報道によると、般舟院の土地と建物は競売にかけられ、他の法人に所有権が移転しています。重要文化財に指定されている2体の仏像も、京都市内の他の寺院に保管されているとのことです。さらに、この競売問題に関連して、解職された元住職が重要文化財の仏像2体を無断で持ち出し隠匿したとして、2012年7月9日に文化財保護法違反容疑で書類送検されています。

現在、般舟院は西圓寺という単立の寺院となっています。

文化財

般舟院には、以下の重要文化財が所蔵されていました。

木造阿弥陀如来坐像：平安時代に作られたとされ、現在は京都市内の他の寺院に保管されています。
木造不動明王坐像：こちらも平安時代の作で、かつては東京国立博物館に寄託されていましたが、現在は京都市内の他の寺院に移されています。

これらの仏像は、般舟院の創建よりも古い時代のものとされています。

般舟院陵

般舟院陵は、後花園天皇、後土御門天皇、後奈良天皇、後柏原天皇の母である源朝子など、14の墓からなる陵墓です。元々は伏見にありましたが、般舟院の移転に伴い現在地に移されました。また、後白河天皇の第3皇女である式子内親王の墓所と伝えられる「式子内親王塚」が般舟院陵の左側に存在しており、陵墓が移転する以前からあったと伝えられています。

所在地

京都府京都市上京区今出川通千本東入般舟院前町151（旧所在地）

参考文献

毎日新聞社編集・刊行『仏像めぐりの旅4 京都（洛中・東山）』、1993(pp.67 -69)

関連項目

伏見城
建長寺

外部リンク

上京区の史蹟百選／般舟院

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