良川昌美

良川 昌美（よしかわ まさみ、1960年1月25日 - ）は、大阪府に生まれた元プロ野球選手であり、長年にわたりプロ野球審判員としても活動した人物である。右投右打。審判員としての現役時代の審判員番号は17番であった。

選手時代

大阪市立淀商業高等学校を卒業後、1977年のプロ野球ドラフト会議で5位指名を受け、クラウンライターライオンズへ入団した。投手として期待されたものの、ライオンズでは一軍での登板機会に恵まれず、1981年11月に自由契約となる。その後、近鉄バファローズへの移籍が実現した。クラウン時代はオーバースローだった投球フォームを、近鉄への移籍を機にサイドスローへと大きく変更している。しかし、目覚ましい活躍には至らず、1988年シーズン終了をもって現役を引退した。
選手としての主な記録としては、1983年4月30日の対阪急ブレーブス戦（阪急西宮球場）で初めて一軍登板を果たし、リリーフとして3回を投げ2失点を喫した。初勝利は同年6月11日の対阪急ブレーブス戦（日本生命球場）で、これも救援登板ながら3回を無失点に抑え勝利投手となっている。背番号はクラウンライターでは50、近鉄では63を使用した。

審判時代

選手引退翌年の1989年にパシフィック・リーグの審判部に入局し、新たなキャリアをスタートさせた。審判としての初出場は1990年9月22日、阪急西宮球場で行われたオリックス・ブレーブス対ロッテオリオンズ戦で、左翼外審を務めた。審判技術向上を目指し、1991年にはアメリカ合衆国のジム・エバンス審判学校にて約1年間の研修を受けている。
長年にわたりグラウンドに立ち続け、公平なジャッジに努め、2016年シーズン終了時点で公式戦通算1519試合に出場した。この出場試合数は、パ・リーグでの1214試合に加え、セ・リーグ177試合、両リーグ交流戦108試合、日本シリーズ5試合、オールスターゲーム5試合、クライマックスシリーズ10試合を含んだ合計である。特に重要な試合としては、オールスターゲームに2000年と2009年の2度出場し、2000年には第3戦（長崎県営野球場）で球審を務めた。日本シリーズには2010年に初めて出場している。
国際舞台での経験もあり、2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）には、日本から派遣された審判員の一員として参加。カナダのトロントで行われた1次ラウンドC組の4試合で、一塁または三塁塁審を担当した。
節目の記録としては、2009年に福岡Yahoo!JAPANドームでの福岡ソフトバンクホークス対オリックス・バファローズ戦で通算1000試合出場を達成。2016年8月9日には、京セラドーム大阪でのオリックス対ソフトバンク戦で一塁塁審を務め、史上91人目となる通算1500試合出場を達成した。これらの功績に対し、2009年には審判員奨励賞を受賞している。

人物とエピソード

審判員として職務にあたる中で、特に記憶される出来事の一つに、2007年7月17日、千葉マリンスタジアムでの千葉ロッテマリーンズ対オリックス・バファローズ戦における経験がある。この試合で球審を担当していた良川氏は、3回表にオリックスの打者タフィ・ローズ選手が内角球を巡る判定に不満を示し、ロッテの捕手里崎智也選手に詰め寄ったことから両チームが入り乱れる激しい乱闘へと発展する場面に直面した。良川氏は事態を収拾するため、乱闘の当事者であるローズ選手、乱闘中に殴り合いとなったオリックスのジョン・ディーバス打撃コーチ、ロッテの高橋慶彦走塁コーチの計3名に対し退場処分を宣告した。さらに、これ以上の不祥事を防ぐために、試合を警告試合とすることも宣告している。この試合は、1回にロッテ先発の清水直行投手がオリックスのグレッグ・ラロッカ選手に死球を与え、さらに乱闘直前にはラロッカ選手と清水投手が一塁上で接触するなど、試合開始前から両チーム間に緊張感が漂う状況下で発生したものであった。

審判引退後

2016年シーズンをもって審判員としての現役を退いた後も、日本プロ野球機構（NPB）において審判部門に携わった。翌2017年からは審判技術委員を務め、2021年には役職名変更に伴いスーパーバイザーとなった。この職務は2022年をもって退任している。球界を離れた後も野球への関わりを持ち続け、2023年2月3日には日本学生野球協会から学生野球資格を回復した。

関連項目

大阪府出身の人物一覧
埼玉西武ライオンズの選手一覧
大阪近鉄バファローズの選手一覧
プロ野球審判員一覧

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