色情トルコ日記

映画『色情トルコ日記』について

1974年（昭和49年）に公開された『色情トルコ日記』は、東映が製作した異色のポルノコメディ映画です。監督は山口和彦、主演はシャロン・ケリーと梅宮辰夫が務めました。R18+指定で公開され、その過激な内容から大きな話題を呼びました。この作品は、東映がそれまで製作していたポルノ映画からの転換点となった作品としても知られています。

あらすじ

主人公の駒田拓也は、その巨大なジュニアを武器に女性たちを集めて商売をしていましたが、売春防止法違反で逮捕され服役することになります。刑務所に入っている間にジュニアも勃起しなくなり、出所後も女性たちに見向きもされなくなってしまいます。そんな落ち込む拓也の前に、空から金髪美女ダイアナ・モンローが降ってきます。彼女を車に乗せたところ、襲撃に遭いカーチェイスに。その時、拓也は緊張すると勃起するという特殊な体質が発覚。彼女との出会いをきっかけに、拓也は再び商売を始めることになります。

キャスト

駒田拓也：梅宮辰夫
ダイアナ・モンロー：シャロン・ケリー
三毛猫の松：佐藤蛾次郎
宇野幾雄：鈴木サミ
咲子：田島晴美
ローズ：小林千枝
メリー松山：舞砂里
花電車のお菊：谷本小代子
玉枝：伊藤慶子
山仁：伊達三郎
角田：団巌
黒眼鏡：白石襄
支配人：山本緑
鯨川：小松方正
屋台の主人：高月忠
スタンド員：沢田浩二
クソ船の親爺：太古八郎
山仁の社員：山田甲一
山仁の社員：木村修
ストリップ小屋支配人：佐藤晟也
* 主婦連：鈴木暁子

製作の背景

1960年代後半から、西欧諸国ではハードコアポルノが解禁され、多くのヌード映画が製作・公開されました。日本でもこれらの作品が輸入され、大きな人気を集めました。東映は、この流れを受けて、それまでの国産ポルノとは異なる、本物の外国人女優を起用した作品を製作しようと考えました。そこで白羽の矢が立ったのが、アメリカ人ポルノ女優のシャロン・ケリーでした。

シャロンは、当時「本番女優」として話題を集めており、その人気は絶大でした。東映は彼女を主演に迎え、『金髪セックス爆弾 ダイアナ・モンロー』という企画を立てますが、岡田茂社長の意向でタイトルが『色情トルコ日記』に変更されます。シャロンは、国際電報で「相手役はウタマロにして欲しい」と挑戦状を送るなど、話題作りに一役買いました。相手役には、東映ポルノの帝王、梅宮辰夫が選ばれ、巨乳対巨根の日米対決が実現しました。

撮影秘話

急なタイトル変更により、台本になかったシャロンのトルコ嬢（ソープ嬢）のシーンを撮影することになり、経験者が手本となってシャロンにテクニックを教えたというエピソードがあります。シャロンは、3人の男優を相手に、泡踊りやハチミツ舐めなど、全裸で熱演しました。この撮影では、男性俳優がパンツを着用していたため、監督が「シャロンが何もつけてないのに、お前は何だ！」と怒鳴ったという逸話も残っています。また、シャロンと梅宮のベッドシーン撮影は、厳戒態勢の中で行われ、本番ファックが行われたのではという噂が立ちました。

最後の東映ポルノ

『色情トルコ日記』は、東映が「最後の東映ポルノ」として宣伝した作品です。東映は日活ロマンポルノの勢いに押され、ポルノ映画の製作を打ち切ることを決定していました。しかし、『色情トルコ日記』は、制作発表会見も終えており、ヒットも期待できることから、この作品を最後にポルノ映画から撤退することを表明しました。東映は、外国映画を輸入して肝心な部分を消す方が安上がりだと考え、国産ポルノの制作を縮小していったのです。

本番女優シャロン・ケリー

シャロン・ケリーは、その大胆な言動と過激なパフォーマンスで、日本のマスメディアを大いに賑わせました。「セックスシーンは本番で撮るべき」と主張し、「日本のポルノは生ぬるい」と発言するなど、その過激な発言も注目を集めました。記者会見では、全裸になることも厭わず、自慢のオッパイや下の毛をアピールするなど、その奔放なキャラクターが話題となりました。彼女のプロ意識とサービス精神は、東映のスタッフを感激させたと言われています。

宣伝活動

シャロンは映画の宣伝活動にも積極的に取り組みました。日本のマスメディアに連日全裸を披露し、話題作りに貢献しました。特に、記者会見で披露したセックス体操は、過激な内容で報道陣を驚かせました。ポスターのキャッチコピーは「どっちがいか（・・）す？ ・巨大ジュニアに物言わすー 梅宮辰夫 ・男性総ナメー シャロン・ケリー」と、過激な内容をアピールしました。

評価と影響

『色情トルコ日記』は、興行的には特にヒットしたとは言えませんが、その後の東映ポルノ路線の転換点となった重要な作品として評価されています。また、シャロン・ケリーのような「本番女優」の登場は、日本のポルノ映画に大きな影響を与えました。この作品以降、東映はポルノ映画の制作を一時的に中断しますが、その後、1975年にはポルノ映画の制作を再開することになります。

逸話

シャロン・ケリーは、マネージャーもなく一人で異国にやってきて、寂しがっていたといいます。佐藤蛾次郎が、少し英語が話せたため、シャロンの話し相手になることが多かったそうです。また、撮影後、シャロンが「梅宮辰夫より、山口監督とヤリたかった」と話したというエピソードも残っています。

同時上映

『唐獅子警察』（監督：中島貞夫 / 主演：小林旭 / 脚本：野上龍雄）が同時上映されました。



『色情トルコ日記』は、その過激な内容とシャロン・ケリーの奔放なキャラクターによって、日本の映画史に残る異色作となりました。

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