艸部

艸部（そうぶ）について

艸部は、漢字を部首によって分類したグループの一つで、康熙字典では214部首の140番目に位置します。この部首は、草本植物の総称である「艸（くさ）」を基本としており、植物に関する意味を持つ漢字を多く含んでいます。

艸部の成り立ち

「艸」は「草」の本字であり、草の形を象った「屮」が二つ並んだ会意文字です。偏旁としては、植物、特に草本植物に関わる意味を示すために用いられます。多くの場合、漢字の上部に位置し、「艹」という形に変形して使われますが、この形には複数のバリエーションが存在します。

艸部に属する漢字の特徴

艸部に属する漢字には、「艸」の字形をそのまま残しているものは少なく、基本領域では「芔」「茻」「芻」程度です。しかし、拡張領域には「𦫹」「𦬦」「𦭠」など、多くの漢字が収録されています。特筆すべきは、異体字が非常に多いことで、同音の文字に変えた字体（蔕と蒂）、類似の字形に変えた字体（萌と萠）、本字に追加した字体（蕊と蘂）、左右の構造が異なる同字（蘇と蘓）、表外字の拡張[[新字体]]（蘆と芦）、本字にくさかんむりを加えた異体字（芻と蒭）などがあります。

字体のデザイン差

楷書における「艸」の偏旁は、「艹」のように十字形に変形されますが、その形には「3画くさかんむり」（艹）と「4画くさかんむり」（艹）の2種類が存在します。

3画くさかんむり: 二つの横画がつながり、全体で3画に見える形。
4画くさかんむり: 二つの横画が離れており、4画に見える形。

印刷書体では、『康熙字典』が「4画くさかんむり」を採用していますが、日本の新字体や中国の新字形は「3画くさかんむり」を使用しています。ただし、日本の『表外漢字字体表』では「3画くさかんむり」を印刷標準字体としつつも、他の書体での「4画くさかんむり」の使用を制限していません。このため、人名などでは「3画」と「4画」を区別する場合もあります。

筆記においては、草書では「前」の上部のような形、行書では「サ」のような形、楷書では「十十」と書かれることが一般的です。活字では、明治以降「3画くさかんむり」が主流になりましたが、筆記では「4画」で書くことも多く、教育現場でも混乱が見られます。

略字

日本の新字体や中国の簡体字では、他の偏旁を「3画くさかんむり」に統合させたものがあります。

丱: 「敬」のような「丱」の変形を「3画くさかんむり」にしています（例: 夢→梦）。
廿: 「漢」「勤」などの「廿」形を「3画くさかんむり」にします（例: 漢→汉）。
* 火火: 「營」「螢」「榮」などの「火火」を「3画くさかんむり」にします（例: 營→营）。

部首の通称

艸部は、一般的に「くさかんむり」と呼ばれます。中国語では「草字頭」、韓国語では「초두부（草頭部）」、ベトナム語では「Bộ Thảo」などと呼ばれます。

まとめ

艸部は、植物に関する漢字を収める部首であり、その字形や異体字の多さが特徴です。字体のデザイン差や略字の存在は、漢字の歴史や文化を理解する上で重要な要素となっています。

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