芦乃家雁玉

芦乃家 雁玉について

芦乃家 雁玉（あしのや がんぎょく、1894年1月20日 - 1960年12月30日）は、日本の著名な漫才師であり、本名は三井寒三郎です。彼は難波新地で生まれ、66年の生涯を送りました。そのユニークな風貌から「タコ壺」や「雁さん」と親しまれました。彼の名に含まれる「雁」と「玉」は、尊敬する歌舞伎役者・二代目實川延若が使った替紋から取られています。

経歴と芸風

幼少期から芸事に対して強い関心を持っていた雁玉は、にぎやかな家庭環境のもとで育ちました。なかでも兄である東明幸三郎は俄役者として活動しており、彼もまた芸の世界に引き込まれる要因の一つでした。若いころは袋物の商店で働きつつ、勝手に「春の家雁玉」という名前で天狗連に参加しながら自らの芸を磨いていました。

1916年頃、彼は落語の名手・笑福亭吉右衛門（当時は5代目笑福亭吾竹）に見いだされ、弟子として修業を開始します。1917年には「雁玉」として独立し、その後は玉子家春夫という名で軽口に転向し、安来節や万歳の座に参加。また、1922年には吉本に迎え入れられ、寄席での出演機会を得るようになります。彼は漫才のスタイルを落語のネタを取り入れることで革新し、当時の漫才界に新しい風を送りました。

雁玉は、1932年に林田十郎とコンビを組むことでお茶の間に名を知られるようになります。彼らは「雁玉・十郎」として、多彩な掛け合いと独特の軽やかなスタイルで大変な人気を博し、エンタツ・アチャコに次ぐ存在となりました。当然、相方の十郎が彼の風貌を「タコ壺」と呼ぶことで観客を沸かせていたのも、彼らの人気のポイントの一つでした。

戦時中には「コロッケ劇団」として活動し、ドサ回りを行いながら、戦後は再度活躍の場を広げていきます。特に1947年からのNHK大阪製作の特番『上方演芸会』の司会を務めることで、その知名度は全国規模に広がります。オープニングの掛け声「いらっしゃいませ」「こんばんは」は多くの人に親しまれ、この番組は上方漫才のブームを後押しすることになります。

また、著名なネタとしては「元は役者」「笑売往来」「スキ問答」などがあり、これらは彼の独自のユーモアセンスを表しています。彼のコンビネーションは、映画やラジオ、さらにはテレビにまで展開し、幅広いメディアで活躍しました。十郎とのコンビは一時解消した後、再結成を果たすものの、1958年に十郎が脳出血で倒れると、その後は新たな相方・都家文雄とともに活動を続けました。

野球ファンとしての側面

雁玉は漫才師としてだけでなく、野球ファンとしても知られていました。戦前には藤沢桓夫らとチームを結成し、芸人仲間と野球の試合を行うことが頻繁にありました。また、南海ホークスの私設応援団長を務めるなど、熱心なファン活動も行っていました。

慰めと影響

1960年、心臓麻痺で倒れ自宅で亡くなった雁玉は、66歳という生涯を終えましたが、その影響は後の漫才師たちに受け継がれています。彼は多くの弟子を持ち、芦屋雁之助、芦屋小雁、芦屋雁平、芦乃家一春などがその一例です。これにより、雁玉の名を冠した後の漫才界への貢献が知られるようになり、彼の影響は今なお色褪せることがありません。

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