笑福亭吉右衛門

笑福亭吉右衛門（しょうふくてい きちえもん）は、弘化・嘉永頃に生まれ、1919年頃に没したとされる上方落語家です。本名や享年は明らかになっていません。

もともとは新内節の太夫であり、岡本喜佐八という名で活動していました。ただし、亭号を鶴賀や林家としていたという資料も存在します。その後、落語の世界に転じ、当初は色物を演じていましたが、いつしか落語を演じるようになりました。初代桂文團治に師事し、初代桂歌團治を名乗りました。

初代文團治の死に際し、歌團治は師の死水を取りますが、文團治はすでに初代桂米團治（後の7代目桂文治）に名跡を譲ることを決めていました。これに納得がいかなかった歌團治は、2代目文團治を自称し、米團治の文團治の向かい側に席を設けました。これが原因となり、1892年に襲名争いの裁判が勃発。結果、歌團治は敗訴しました。

その後、3代目笑福亭松鶴の門下に移り、笑福亭の由緒ある名である5代目笑福亭吾竹を襲名しました。

1912年には、初代桂枝雀、4代目笑福亭松鶴らと共に寿々女会の設立に参加。三友派の二世曽呂利新左衛門や、桂派の桂文左衛門らに対抗し、笑福亭吉右衛門を名乗りました。ただし、「吉右衛門」という名の由来は不明です（歌舞伎には中村吉右衛門という名跡がありますが、両者の関係は不明）。晩年の1915年頃には、再び吾竹に名を戻したとも言われています。

前歴や前名の「歌團治」からもわかるように、音曲噺や新内節を得意としていましたが、素噺にも真打の風格があったと言われています。しかし、一般受けはせず、人気はあまり高くなかったようです。

弟子

笑福亭吾市
笑福亭吾遊
芦乃家雁玉 - 漫才

参考文献

『落語系圖』（月亭春松編） - 「吉兵衛門」という表記は誤植。
『上方はなし』第46集「福圓に聴く」
『古今東西落語家事典』（平凡社、1989年）

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