芭蕉塚古墳

芭蕉塚古墳

芭蕉塚古墳（ばしょうづかこふん）は、京都府の城陽市平川茶屋裏にある古墳です。この古墳は、前方後円墳の形状を持ち、久津川古墳群の一部を構成しています。国の史跡にも指定されており、その重要性が認識されています。

概要

城陽市の北部にある丘陵地に、見事な前方後円墳が築かれています。この古墳の名稱である「芭蕉塚」の由来は明らかではありませんが、その周辺地域には古墳が数多く存在しています。具体的には、久津川古墳群として知られる100基以上の古墳が集まっており、その中でも芭蕉塚古墳は特に注目を集めています。現在、墳丘は竹林に覆われており、これまでに数回の発掘調査が行われています。

芭蕉塚古墳の墳形は、南方向を向く前方後円形です。墳丘は2段に築かれており、墳丘の長さはおよそ110メートルで、久津川古墳群では久津川車塚古墳に次いで2番目に大きい規模を誇ります。特筆すべきは墳丘のくびれ部分で、左右に造出が設けられています。また、墳丘の外表には葺石や円筒埴輪が配置されており、特に形象埴輪（家形、蓋形、靫形、盾形、甲冑形、囲形埴輪）が見られることが特徴的です。囲形埴輪は後円部の造出の谷間に配置されており、当時の祭祀風景を示す貴重な証拠とされています。

周囲には盾形の周濠が存在し、南側では一部が残存しています。その外堤の上では大型円筒埴輪の列も見つかっています。埋葬施設は粘土槨で、後円部の中心において墳丘の主軸と平行に造られています。この場所では、古墳群全体にわたって石材がほとんど使用されていないことが確認されており、これは本古墳の特徴でもあります。残念ながら、粘土槨は大規模な盗掘に遭い、発掘調査の際には盗掘坑から見つかった甲冑片などの副葬品が確認されました。

築造時期

この古墳は、古墳時代中期の5世紀中葉に築造されたと考えられています。外部の施設の様相は、中期古墳の典型的な特徴を示しており、久津川古墳群の大首長墓としては最後の築造となります。

古墳の指定範囲は、2016年に国の史跡として指定され、その重要性が改めて評価されています。指定範囲には芭蕉塚古墳の他にも久世小学校古墳や久津川車塚古墳が含まれています。2024年にはその範囲の追加指定が行われることが決まっています。

遺跡の歴史

芭蕉塚古墳の調査の歴史は古く、1962年には同志社大学の考古学研究会による墳丘測量調査が実施されました。その後は城陽市教育委員会による範囲確認調査や開発に伴う試掘調査が間欠的に行われ、発掘調査が進められ、2006年には発掘報告書が発表されています。

このように、芭蕉塚古墳は歴史的意義を持つ貴重な文化財であり、その魅力は今も多くの人々に影響を与えています。歴史好きの方々にとって、この古墳は訪れる価値のある場所であると言えるでしょう。

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