花フェスタ'95ぎふ

1995年 4月26日から6月4日まで、岐阜県可児市の岐阜県営可児公園で開催された地方博覧会「花フェスタ'95ぎふ」。この博覧会は、1990年に大阪で開催された国際花と緑の博覧会の理念を継承し、岐阜県が推進していた「花の都ぎふ」運動5周年を記念して開催されました。自然の大切さを認識し、人間と自然との共生をテーマに、花の都ぎふ運動の成果を広くアピールし、さらなる推進の契機とすることが目的でした。

開催の背景

会場となった県営可児公園には、当時「花トピア（岐阜県花き総合指導センター）」が設置されており、「花の都ぎふ」運動の中核拠点と位置づけられていました。岐阜県はバラの苗の生産量日本一を誇っており、イベントの目玉としてバラ園が整備されました。この博覧会は、ぎふ中部未来博に続く岐阜県の一大イベントとして、県全体を挙げてPRが行われました。

イベント概要

会場面積は約74.6ヘクタール。総事業費は、収入が34億9112万円、支出が24億8684万円と、約10億円の黒字を達成しました。入場料は大人1,200円、高校生・シルバー1,000円、小中学生800円。当初50万人を見込んでいた来場者数は、積極的な宣伝活動や競合イベントが少なかったこと、天候に恵まれたことなどから、予想を大幅に上回る191万5657人を記録しました。入場者の7割以上が女性で、リピーターが多かったのも特徴です。イメージソングには「恋はMerry Merry Flower」（This Time）が使用されました。

テーマとキャッチフレーズ

テーマは「未来へ－花・夢・人」、キャッチフレーズは「地に花、人に愛」。マスコットキャラクターは、花と緑を擬人化した花の妖精「ゆめかちゃん」と「ゆめとくん」で、人間と自然の共生というイベントの理念を象徴していました。

会場構成

会場はイベントテーマに合わせて、「花のゾーン」「夢のゾーン」「人のゾーン」の3つに区分されました。計画当初から施設の恒久利用が考慮されており、閉幕後も多くの施設が引き続き利用されています。

花のゾーン

自然の景観を生かし、様々な花飾りで自然との共生をアピールするゾーン。

日本一のバラ園: イベントの目玉として、当時日本では珍しかったオールドローズやイングリッシュローズなど、公称1,100品種40,000本のバラが植えられました。
ハーブ園: ラベンダーを始め、代表的なハーブ23種10,000本が植えられました。
地球花壇: 県内99市町村がデザインした花壇で、地球と虹をモチーフに直径58mの円形に配置されました。
霧のプレリュード: 高さ25mの階段状の滝から霧を発生させ、花と水の芸術を演出しました。
花いかだの池・愛のプロムナード: 花いかだ17基と、花で飾った鵜舟・観覧船が池に浮かべられました。
東グラデーション花壇
アスレチック道場
大きな芝生広場

夢のゾーン

「花の都ぎふ」の未来を象徴し、花と緑のある暮らしを提案するゾーン。

花のタワー: 花の海に浮かぶ船をイメージした高さ45mのタワー。花の地球館と共に大野秀敏が設計し、会場のランドマークとなりました。
花の地球館: イベントのテーマ館。様々なテーマで企画展示を行い、21世紀のライフスタイルを提案しました。
花トピア: 花のディスプレイや温室での観葉植物の展示の他、作品展やカルチャー教室も開催されました。
アースギャラリー: 花のタワーと花トピアを結ぶ連絡通路に設けられ、地球の46億年の歴史を自然の美をモチーフとして紹介しました。
花の芸術アベニュー: 県内50の団体・農林学校・企業の花壇が設置されました。
バザール広場

人のゾーン

イベントスペースやパビリオンなど人々が集う場に花のオブジェを配し、賑わいを演出するゾーン。

花夢館: 12の企業・団体が出展するパビリオン。後の愛知万博の構想を紹介するパビリオンもありました。
華やか館: バーチャルリアリティやハイビジョンなど、当時の先端技術を用いて21世紀のライフスタイルを紹介しました。
可児市館: 3Dフレグランスシアターとして、立体映像に香りを付けた「みつばちビーのワンダートリップ」が上映されました。
プリンセスホール雅: 800席収容の木造イベントホール。加藤登紀子、西田ひかる、さだまさし、吉本興業所属タレントなど、当時の人気芸能人もライブを行いました。
花の日本列島（都道府県花壇）
ふるさと日本一広場
楽市楽座・花の屋台横丁
ちびっこ広場
西グラデーション花壇
FMローズバレー: イベント期間中に開設されたイベント放送局。地域のボランティアスタッフが中心となり運営されました。周波数79.3MHz、送信出力100Wで、会期中のみ放送されました。

交通アクセス

直通バス: JR 可児駅、名鉄新可児駅より運行
マイカー: 多治見インターチェンジより約11km、土岐インターチェンジより約20km
駐車場: 会場及び周辺に8,500台分（内3,500台分は土日祝日用の臨時）を用意
徒歩: 名鉄明智駅より徒歩約30分

問題点

当初、総来場者数を50万人、1日あたりのピークを55,000人と想定していましたが、実際には総来場者数が4倍近く、1日の最高入場者数も倍近い98,233人に達しました。そのため、トイレや休憩所などの施設が不足し、急遽増設したものの、十分な対応ができませんでした。また、駐車場や道路などのインフラも不十分で、ピーク時には会場周辺だけでなく隣町まで渋滞が続きました。この交通渋滞により、周辺の店舗の売上が減少するという影響も出ました。イベントの目玉であった「日本一のバラ園」についても、他にあるバラ園と比較して、何をもって日本一なのかという声も上がりました。

閉幕後の動き

岐阜県知事の梶原拓は、閉幕後のインタビューで、公園を「花フェスタ記念公園」として、世界一のバラ園に育てる方針を示しました。その言葉通り、イベント後の整備期間を経て、1996年 4月26日に「花フェスタ記念公園」として再オープン。その後、2005年に開催された「花フェスタ2005ぎふ」では、7,000品種60,000本と品種数で世界一のバラ園に整備され、構想は実現しました。また、このイベントが契機となり、会場となった可児市と北マリアナ諸島ロタ島との間で、1995年 8月20日に友好都市提携が締結されました。これは可児市にとって初の都市交流提携となりました。

まとめ

花フェスタ'95ぎふは、その後の花フェスタ記念公園の発展、ひいては岐阜県の花卉文化の振興に大きく貢献したイベントでした。バラ園の拡充に加え、国際交流のきっかけともなり、地域に大きなインパクトを与えたと言えるでしょう。

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