花嫁 (はしだのりひことクライマックスの曲)

1971年、フォークソングシーンに衝撃を与えた一曲「花嫁」

1971年1月10日、はしだのりひことクライマックスのデビューシングル「花嫁」が東芝音楽工業（現EMIミュージック・ジャパン）から発売されました。ギターのイントロから始まるこの楽曲は、1970年代フォークソングを代表する名曲として、現在も広く親しまれています。

力強い藤沢ミエのボーカルと、石川鷹彦の繊細なギター演奏が絶妙に調和した「花嫁」は、発売後すぐに人気を博し、オリコン週間チャートで2週連続1位を獲得。さらに、年間チャートでも7位にランクインするなど、大ヒットを記録しました。累計売上枚数はミリオンセラーに達し、その人気は社会現象と言えるほどでした。

花嫁衣装なき駆け落ち物語

歌詞は、花嫁が愛する人の元へ、花嫁衣装もなく、夜汽車で一人で旅立つ駆け落ちの様子を描いています。「帰れない　何があっても」「何もかも捨てた」という強い決意表明が、聴く者の心に深く響きます。それまでの駆け落ちソングは、暗いイメージが先行していましたが、「花嫁」は、さわやかで明るく、前向きな表現で、このテーマに新たな解釈を加えた革新的な作品として高く評価されました。

シングル盤ジャケットに隠された遊び心

シングル盤のジャケット内側には、メンバーのプロフィールが記載されていますが、そこには「身長1ミクロ、体重0.5mmg」などとはしだのりひこを初めとしたメンバーのユーモラスな記述があり、楽曲の印象とは異なる、彼らの遊び心あふれる一面が垣間見えます。

紅白歌合戦初出場とCMへの起用

「花嫁」の大ヒットにより、はしだのりひことクライマックスは第22回NHK紅白歌合戦に初出場を果たしました。メインボーカルが女性でもグループに男性メンバーがいる場合は白組になることが多い中、このグループは白組での出場となりました。紅白での歌唱映像は、現在でも民放番組などで使用されています。

その後も「花嫁」は、桃屋「ごはんですよ！」のCMや、村内ファニチャーアクセスのコマーシャルソングに起用されるなど、幅広い世代に親しまれてきました。

知られざる歌詞の誕生秘話と30年におよぶ確執の終結

「花嫁」の歌詞は、北山修によって書かれたものですが、実はもう一つの歌詞が存在し、レコーディング当日に知らされた北山は驚きを隠せませんでした。はしだの懇願により両方の歌詞で歌入れを行った結果、岡林信康の助言により北山版の歌詞が採用されました。しかしこの出来事から、はしだ、北山両氏の間には約30年にわたる確執が生まれました。この確執は、はしだが入院した際に北山氏に謝罪することで終止符を打たれたと、北山氏が『週刊現代』（2019年3月9日号）で告白しています。

楽曲情報と参加ミュージシャン

収録曲

Side-A：花嫁（作詞：北山修、作曲：端田宣彦・坂庭省悟、編曲：青木望）
Side-B：この道（作詞：北山修、作曲：端田宣彦、編曲：青木望）

参加ミュージシャン

ドラム：猪俣猛
エレキベース：鈴木淳
エレキギター：杉本喜代志、水谷公生
アコースティックギター：石川鷹彦
パーカッション：川原正美
トランペット：宮下明、福島照之
テナーサックス：三森一郎、金井陽一
バリトンサックス：原田忠幸
* ストリングス：多アンサンブル

数々のカバーで歌い継がれる名曲

「花嫁」は、多くのアーティストによってカバーされています。美空ひばり、天地真理、小柳ルミ子、佐良直美、深津絵里など、ジャンルを超えた幅広い歌手が「花嫁」を自身のレパートリーに加え、その魅力を再解釈し、新たな息吹を吹き込んでいます。 このことは、「花嫁」という楽曲が時代や世代を超えて愛され続ける普遍的な魅力を持っている証と言えるでしょう。

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