花柳章太郎

花柳章太郎の生涯と業績

花柳章太郎（はなやぎ しょうたろう、本名：青山章太郎）は、日本の新派を代表する女形役者として知られています。1894年5月24日に東京日本橋に生まれ、1965年1月6日に逝去するまで、彼は日本の演劇界に多大な影響を与えました。彼の俳名には、章魚や柳花洞などがあり、日本芸術院会員、文化功労者、人間国宝の称号を持つという偉業を成し遂げています。

来歴

章太郎は1908年に喜多村緑郎の弟子として新派に足を踏み入れ、翌年に本郷座で初舞台を迎えました。その後、1913年には新派の幹部に昇進し、1915年には泉鏡花の作品『日本橋』で主役を演じ、一躍その名を轟かせました。しかし、彼は新派としての方向性に悩み、1921年には新劇座を結成し、試行錯誤を重ねました。

1927年には松竹座で松竹新劇団を結成し、翌1931年には『二筋道 花柳巷談』が大成功を収め、新派の復興に寄与しました。さらに1939年には「新生新派」を結成し、本流新派からの独立を果たし、映画『残菊物語』で主演を務め、観客からの絶賛を受けました。彼は美貌の二枚目として新たなキャリアを開きました。

受賞歴

彼の芸術的功績は多岐にわたり、1939年の文部大臣賞を皮切りに、1955年には日本芸術院賞を受賞します。また、1965年には勲三等旭日中綬章を受け、これにより彼の名声はさらに高まりました。戦後は立役に回ることが多くなりましたが、彼の真価はその美しさを引き立てた女形の役にありました。

晩年と死

1952年、彼は新派大同団結の際に座頭として劇団を率い、初代水谷八重子との名コンビにより多くの名作を世に送り出しました。彼の死は1965年、名演を続けていた新橋演舞場での舞台の最中に突然訪れました。最後の舞台は川口松太郎作の『寒菊寒牡丹』であり、彼は生涯を通じて舞台に情熱を注ぎ続けました。

文化的影響

彼の影響は演劇界だけでなく、映画や著作、さらには料理の好みにも見ることができます。食通としても知られ、特に和食を好み、様々な美味に目を向けていた章太郎は、その趣味が演技にも表れていたと言われています。演劇評論家には、彼の死後、友人の川口松太郎が彼の人生を小説にまとめました。

当たり役には『瀧の白糸』の瀧の白糸や『婦系図』のお蔦などがあり、彼の演技は今もなお多くの人に語り継がれています。日本の演劇史において彼の名は永遠に輝く存在であり、その功績は後世に受け継がれています。

もう一度検索