花谷正

花谷 正（はなや ただし）

概要

花谷正は、1894年1月5日に岡山県で生まれ、陸軍中将として1945年まで活動した日本の陸軍軍人である。彼はその際限ないエリート意識と強引な指導スタイルから、特に軍内外にその名を轟かせた。

経歴

初期の人生

花谷は岡山県勝田郡広戸村の村長である花谷章の子として誕生し、津山中学校を経て大阪陸軍地方幼年学校、中央幼年学校に進んだ。1914年には陸軍士官学校を卒業し、歩兵少尉として任官される。その後、エリート街道を驀進し、1922年に陸軍大学校を卒業することで日本陸軍の中枢に顔を出すようになる。

陸軍での活動

花谷は、参謀本部や関東軍において様々な職務を歴任し、1931年には柳条湖事件の首謀者の一人となる。この事件において、花谷は日本の政治的優位を確立することを意図した。しかし、彼の差別的な姿勢は部下に多くの苦痛を与え、精神的な問題を抱える者も多く存在した。

1937年には日中戦争に参加し、陸軍大佐に昇進。その後も多くの戦闘を指揮することになる。特にノモンハン事件での指揮が光る。1940年には少将に昇進し、その後のビルマ戦争でも中心的な役割を果たした。

ビルマでの戦闘

1943年、花谷はビルマに出征し第55師団の指揮を執った。彼が到着した頃、イギリス軍の攻勢が始まっており、ビルマ西部のアキャブが危機にさらされていた。花谷は攻撃防御の作戦を採用し、敵の背後を突く大胆な作戦を考案。しかし、イギリス軍の新しい戦術に直面し、苦戦を強いられることになる。

特に、円筒型陣地に対する攻撃で花谷軍は大きな損害を被った。彼の指揮は厳格であり、任務の遂行を強く求めたため、部隊は飢えや弾薬不足に悩まされることになる。それでも花谷は攻撃的なスタンスを貫き、部下に絶えず戦闘を強いる姿勢を見せた。

最終的には、イギリス軍の包囲を受け、撤退を余儀なくされるが、花谷の作戦は一部成功したとして評価された。

戦後と晩年

1945年7月、花谷はタイ王国に赴任し、戦後は公職追放されることになる。彼は右翼団体「曙会」を運営し、1955年には満州事変について証言を行った。生涯を通じてその強烈なキャラクターと戦術的な考え方は、今もなお歴史の中で語り継がれる存在である。

逸話

花谷の生涯には数多くの逸話がある。彼は気性が激しく、上司や部下に対しても怒りを露にすることがしばしばであった。趣味の囲碁でも、負けると碁盤をひっくり返すといった激しい一面を持っていた。

彼の苛烈な指導方針は賛否を呼び、兵士たちからは「猛将」として恐れられ、同時に武士道精神を体現した姿勢が敬意を持たれていた。彼の謎多き人物像は、今もなお多くの歴史ファンや研究家にとって興味深いテーマである。

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