若い力 (国民体育大会歌)

「若い力（わかいちから）」は、日本の国民歌の一つとして知られています。この楽曲は、1947年（昭和22年）に石川県金沢市を中心に開催された第2回国民体育大会、通称「石川国体」の際に、「スポーツの歌」として特別に制作されました。作詞は佐伯孝夫氏、作曲は高田信一氏が手がけました。この第2回大会では、「若い力」の誕生と並行して、現在の国民体育大会の公式マークも制定されています。

この楽曲は、その誕生以来、様々な場面で広く親しまれてきました。国民体育大会においては、参加選手の入場行進曲や大会旗の掲揚といった重要な儀式で使用されることが通例となっています。また、全国各地の学校で行われる運動会や体育祭でも、入場行進曲やプログラム中のBGMとして頻繁に採用されており、多くの人々に馴染み深い曲となっています。近年では、2020年8月に開催された2020年甲子園高校野球交流試合の開会式でも、その力強いメロディーが響き渡りました。

「若い力」は、通常は歌われたり演奏されたりする楽曲ですが、石川国体の開催地であった金沢市には、この曲に合わせた独自の文化が根付いています。それは、「若い力」の曲に乗せて披露される「集団演技」です。この集団演技は70年以上の長きにわたり、金沢市独自のスポーツ文化として大切に受け継がれてきました。特に、金沢市内の全ての小学6年生が一堂に会して行われる「金沢市立小学校連合体育大会」では、この伝統的な集団演技が毎年披露されており、参加する児童たちにとって忘れられない体験となっています。この集団演技の価値は広く認められ、令和4年（2022年）3月には金沢市スポーツ遺産として正式に認定されました。さらに、金沢市スポーツ事業団は、この伝統文化の継承と普及を目的とした「若い力プロジェクト」を推進しています。このプロジェクトの一環として、石川、富山、福井を中心に活動するアイドルグループ「ほくりくアイドル部」が「若い力」の曲に合わせてパフォーマンスする動画が制作され、金沢市スポーツ事業団のYouTube公式チャンネルなどで公開されており、より多くの人々にこの「若い力」と金沢の集団演技を知ってもらうための活動が行われています。

「若い力」は、発表以降、複数の形式でレコード化されています。初期の音源としては、ビクターレコードから発売された規格品番AE-180のSPレコードがあります。これは「国体讃歌」との両A面（実際にはA面が国体讃歌、B面が若い力）で、編曲・演奏はビクター・オーケストラによるインストゥルメンタル版が収録されています。歌唱入りのレコードとしては、キングレコードから発売された規格品番C255のSPレコードが最古級とされており、長門美保氏、秋元清一氏らが歌唱、キング管弦楽団が演奏を担当しています。また、1971年には再録盤も登場しており、キングレコードから発売された規格品番ES (H) - 56には、友竹正則氏と真理ヨシコ氏による歌唱バージョンと、キング・オーケストラによる行進曲調のインストゥルメンタルバージョン（編曲は藤家虹二氏）が収録されています。近年では、デスマーチ艦隊のアルバム『空にはとどろ。号砲の。』にカバーバージョンが収録されるなど、時代を超えて様々な形で音源が発表されています。

このように、「若い力」は単なるスポーツイベントのテーマソングに留まらず、国民的な行事や学校教育の場で親しまれる存在であり、特に金沢市においては地域独自の伝統文化として継承・発展している、多層的な意義を持つ楽曲と言えるでしょう。

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