若さは向こう見ず

『若さは向こう見ず』（原題：Yeh Jawaani Hai Deewani）は、2013年に公開されたインドのロマンティック・ドラマ映画です。監督はアヤーン・ムカルジー、プロデューサーは著名なカラン・ジョーハルが務めました。主演には当時の人気俳優、ランビール・カプールとディーピカー・パードゥコーンが配され、カルキ・ケクランやアディティヤ・ロイ・カプールといった実力派俳優が脇を固めています。当初3月の公開を予定していましたが、最終的に2013年 5月31日に封切られました。本作は公開されるやいなや大きな話題を呼び、批評家からの評価も高く、興行面でも記録的な成功を収めました。第59回フィルムフェア賞では9部門にノミネートされ、国内外でその年の最も成功したインド映画の一つとして広く認識されています。特に海外市場においては、当時のボリウッド映画として歴代10番目の興行収入を記録するという輝かしい実績を上げました。

製作

映画製作は、ヒールー・ヤシュ・ジョーハルとカラン・ジョーハルが率いるダルマ・プロダクションが中心となり、アプールヴァ・メータとUTVモーション・ピクチャーズが共同製作に加わりました。脚本はアヤーン・ムカルジーの原案をもとに、フセイン・ダラールが執筆しています。タイトルの『Yeh Jawaani Hai Deewani』は、1972年の映画『Jawani Diwani』でR・D・ブルマンが手掛けた有名な楽曲から取られました。音楽はプリータムが担当し、これは彼にとってダルマ・プロダクション作品への初参加となりました。

キャスティングにおいて、主演のランビール・カプールは主要キャストの中で最初に決定しました。彼はアヤーン・ムカルジー監督とは『Wake Up Sid』に続く二度目のタッグとなります。役作りのため、ランビールは実際に耳にピアスを開けるという徹底ぶりを見せました。ヒロイン役には複数の女優が候補に挙がる中、最終的にディーピカー・パードゥコーンに白羽の矢が立ちました。彼女はランビールやムカルジー監督への信頼から、脚本を事前に読むことなく出演を快諾したと言われています。アディティヤ・ロイ・カプールやカルキ・ケクラン、イヴリン・シャルマらも主要キャストとして参加が決定しました。

撮影はインド国内を中心に、ヒマラヤ山脈の麓にあるヒディムバ・デヴィ寺院周辺を含むグラバ、バンジャール、ハムタ、ナッガールといった風光明媚な土地で行われました。海抜約4,200メートル、気温マイナス10度という極寒の環境下で撮影されたシーンもあります。また、ラージャスターン州ウダイプルでは、ランビールとディーピカーによる歌のシーンが撮影されましたが、こちらは一転して猛暑の中での困難な撮影となりました。その他、フランス・パリのムフタール通りや、インドのムンバイにあるフィルミスタン・スタジオでも撮影が行われています。ミュージカルシーンの撮影のため、2013年1月にはカシミール地方も訪れました。

公開と評価

映画の公開に先立ち、ノキアがダルマ・プロダクションとの提携を発表するなど、プロモーションにも力が入れられました。2013年3月19日にはムンバイで予告編の発表会見が開かれ、主要キャストやスタッフが出席しました。プレミア上映が5月30日に行われた後、翌31日に世界3,100スクリーンで一般公開されました。海外では、エロス・インターナショナルがイスラエルでの配給を担当し、ヘブライ語の字幕付きで公開されています。

本作は公開初日から好調な滑り出しを見せました。休日ではないにも関わらず、初日の興行収入は1億9,800万ルピーに達し、当時のランビール・カプール主演作としては最高のオープニング成績を記録しました。公開週末には6億3,000万ルピーを稼ぎ出し、『Dabangg 2』の記録を塗り替えています。その勢いは衰えず、公開第1週の累計興行収入は10億6,000万ルピーを突破し、『タイガー伝説のスパイ』の記録を上回り、興行収入ランキングで首位を獲得しました。公開からわずか7日間で、全世界合計興行収入は17億5,000万ルピーに達しています。その後も安定した興行収入を維持し、公開第2週末の累計は15億2,000万ルピー、第3週末には17億3,000万ルピーを記録しました。最終的に、国内累計興行収入は約19億ルピーに達しました。海外市場でも成功を収め、公開週末に400万ドル、最終的には1,050万ドルを稼ぎ出し、ボリウッド映画の海外興行収入記録を更新しました。

批評家の評価も概ね肯定的でした。ボリウッド・ハンガマのタラン・アダルシュは満点に近い4/5の評価を与え、「全ての年代が見るべき素晴らしい体験」と絶賛しました。Rediff.comのスカニヤ・ヴェルマやIn.comのアイーシャ・コエロも高評価を与え、特にアイーシャは主演ランビールの演技を称賛しました。一方、ニューデリー・テレビジョンのサイバル・チャテルジーは「停滞的でふわふわしている」と評しながらも3.5/5の評価を与え、CNN-IBNのラジーヴ・マサンドやジー・ニュースのアナンヤ・バッタチャールヤは3/5の評価で、楽しむという目的は達成されているとしました。否定的な見解を示した批評家もおり、インディアン・エクスプレスのシューブラ・グプタは辛口な評価を下しました。ヒンドゥスタン・タイムズのアヌパマ・チョープラーやRediff.comのラジャ・センは、視覚的な魅力や俳優の演技は評価しつつも、脚本や物語の深さに物足りなさを感じるといった指摘をしました。

本作は興行収入面だけでなく、様々な映画賞でも注目を集め、前述の通り第59回フィルムフェア賞では主要9部門にノミネートされました。

トラブル

カシミールでの撮影に関しては、ジャンムー・カシミール州の首席大臣オマル・アブドゥッラーが不快感を表明するという騒動がありました。彼は、映画内でカシミール北部のグルマルグで撮影されたシーンが、別の場所で撮影されたかのように描かれていると主張したのです。実際、カシミール渓谷やグルマルグ、パハルガムといった有名な観光地で多くのシーンが撮影されていました。この件を受け、製作陣は映画のオープニングクレジットで首席大臣アブドゥッラーを含む州政府関係者への言及を行うこと、カシミールでの撮影に協力した現地スタッフの名前をエンドクレジットに記載することを約束し、事態の収拾を図りました。

また、2013年6月11日には、デリー高等裁判所が本作のテレビ放送に関して制限判決を下しています。これは、映画内で不適切な表現が使用されていることが理由とされました。

キャスト

主な出演者は以下の通りです。

- カビール（バニー） - ランビール・カプール
- ネイナー - ディーピカー・パードゥコーン
- アヴィ - アディティヤ・ロイ・カプール
- アーディティー - カルキ・ケクラン
- タラン - クナール・ロイ・カプール
- ララ - イヴリン・シャルマ
- カビールの父 - ファルーク・シェイク
- カビールの継母 - ターンヴィー・アーズミー
- ネイナーの母 - ドリー・アルワリア
- プリーティ - アニサ・バット
- リアナ - ポールナ・ジャガナサン（ゲスト出演）
- モヒニ - マドゥリ・ディークシット（アイテム・ナンバー）
- ヴィクラム - ラーナー・ダッグバーティ（カメオ出演）

『若さは向こう見ず』は、その魅力的なキャスト、美しい映像、そして共感を呼ぶ物語で、若者を中心に幅広い層に支持され、インド映画界において商業的にも批評的にも大きな成功を収めた作品として記憶されています。

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