若山城

若山城

若山城は、現在の山口県周南市富田に位置する山城です。この城は、戦国時代に周防国を支配した大内氏の重臣であり、一族の中でも重要な地位を占めた陶氏の本拠地として知られています。瀬戸内海を見渡せる標高217mの若山山頂に築かれ、交通の要衝を扼する戦略的な要塞でした。現在は城跡として整備され、その歴史を今に伝えるとともに、市民の憩いの場、花見の名所として親しまれています。

構造

若山城は、山頂の本丸を中心に、東西に尾根が伸びる地形を利用した連郭式の縄張りを持っています。本丸の東側には二の丸、三の丸が連なり、西側には西の丸と蔵屋敷が配置されていました。これらの郭は、総延長約400mに及びます。城内には、敵の侵入を防ぐために空堀や竪堀が設けられ、特に本丸の北東側には、畝状竪堀の跡が多数残っています。西の丸の一部には石垣も見られ、往時の堅固な守りを偲ばせます。また、海からの攻撃に備え、二の丸から本丸にかけてや東側の尾根には、壇床と呼ばれる段々状の曲輪が築かれていました。

歴史

若山城の歴史は、14世紀中頃に陶弘政が吉敷郡陶村から富田保に移り住んだことに始まります。陶氏がこの地に進出した背景には、鷲頭庄を拠点とする大内氏庶流の鷲頭氏への対抗という目的がありました。若山城の築城も、この時期に行われたとする説があります。

文明2年（1470年）には、応仁の乱に乗じて大内教幸が反乱を起こし（道頓の乱）、これに対して陶弘護が若山城を築き防備を固めました。弘護は反乱を鎮圧しましたが、後に吉見信頼によって暗殺されました。

天文19年（1550年）には、大内義隆と対立した陶隆房（後の晴賢）が、謀反に備えて城を修築しました。翌年には若山城で挙兵し、大寧寺の変で義隆を自害させ、大内氏の実権を掌握しました。しかし、天文24年（1555年）の厳島の戦いで陶晴賢が毛利元就に敗れ自害すると、若山城は杉重輔らの急襲を受け、陶氏一族は滅亡しました。

その後、毛利氏が防長二州を制圧し、若山城は廃城となりました。

現在

現在、若山城跡は整備され、二の丸・三の丸までは車で登ることができます。城跡には桜が植えられ、花見の名所として親しまれています。また、陶氏家臣が登城に使ったとされる道は「陶の道」として知られ、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」にも選ばれています。

アクセス

車：二の丸・三の丸まで車でアクセス可能（駐車スペースあり）
公共交通機関：JR富田駅から徒歩

周辺情報

陶氏館跡
富田八幡宮
* 周南市美術博物館

若山城は、陶氏の興亡の歴史を伝える貴重な史跡であるとともに、美しい自然に囲まれた市民の憩いの場です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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