吉見信頼

吉見信頼

吉見信頼（よしみ のぶより）は、室町時代に活躍した武将であり、大内氏に仕えた家臣です。石見吉見氏の8代当主として、その名を歴史に刻んでいます。

出自

吉見氏は、石見国を拠点とする国人であり、その祖は源頼朝の弟である源範頼に遡るとされています。清和源氏の流れを汲む名門の傍流にあたります。

生涯

吉見信頼は、石見における有力な国人として、その存在感を示しました。応仁の乱が勃発すると、主君である大内政弘（西軍方）に従い上洛し、各地で武功を挙げました。文明2年（1470年）、大内教幸が東軍方の誘いに応じて長門国で挙兵すると、信頼もこれに呼応し、反乱に加担します（大内道頓の乱）。

しかし、反乱鎮圧に当たる陶弘護の軍勢に破れ、教幸は信頼を頼って逃走。再起を図る教幸と信頼の軍勢は、文明3年（1471年）初頭、長門地福（現在の山口市阿東地福）にて大内家臣の末武氏久・延忠・幸氏を討ち取るなどの戦果を挙げますが、渡川城・賀年城・江良城などで相次いで敗北を喫します。益田貞兼も鎮圧に加わり、追い詰められた教幸は同年中に自害するという結末を迎えました。

その後、信頼は文明7年（1475年）に元山城（現在の山口市阿東徳佐）を攻めますが、陶弘護に撃退され、所領の大半を失ってしまいます。窮地に陥った信頼は和睦を模索し、文明10年（1478年）に政弘から正式に罪を許されました。

文明14年（1482年）5月27日、大内政弘が山口の築山館で酒宴を開いた際、信頼はその席上で陶弘護を殺害するという衝撃的な事件を起こします。しかし、信頼自身もその場で内藤弘矩によって討たれました（大内山口事件）。

信頼がこのような凶行に及んだ理由については、様々な説が存在します。道頓の乱以前から領地の境界紛争が生じていた陶氏への不満、乱の鎮圧者である弘護への恨みなどが考えられていますが、事件直前に家督を弟・頼興に譲っていることから、計画的な犯行であった可能性も指摘されています。

また、弘護殺害に使用された刀は、鵜噬（うくい）と呼ばれる吉見氏家宝の短刀であり、事件後「大内政弘からの下賜」という形で吉見成頼に返還されています。さらに、弘護の死後に行われた大内政弘による吉見氏討伐が、突然中止・撤退に終わっていることから、主君である大内政弘がこの事件の背後にいて、内藤弘矩による殺害も口封じ目的であったとする説も存在します。

参考文献

阿部猛 著、西村圭子 編『戦国人名事典』新人物往来社、1987年3月。ISBN 4404014120。 
東京大学史料編纂所 編『益田家文書』 家わけ第二十二 「益田家文書之三」、東京大学出版会〈大日本古文書〉、2000年3月。ISBN 4130912933。 
藤井崇「大内政弘の権力構造と周防・長門支配」『年報中世史研究』32号、中世史研究会編集委員会、2007年
藤井崇「政弘期の分国支配」『室町期大名権力論』同成社〈同成社中世史選書(14)〉、2013年。ISBN 978-4-88621-650-2。 
藤井崇『大内義興 : 西国の「覇者」の誕生』戎光祥出版〈中世武士選書 21〉、2014年6月。ISBN 978-4-86403-111-0。 
岡部忠夫『萩藩諸家系譜』琵琶書房、1983年

外部リンク

武家家伝＿石見吉見氏
吉見信頼

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