若杉要

若杉 要（わかすぎ かなめ）の生涯と外交活動

若杉要は1883年7月9日に熊本県で生まれ、1943年12月9日に生涯を閉じた日本の外交官です。彼は主にアメリカ合衆国での外交活動に従事し、特に反日宣伝や中国支援活動の分析で知られています。

学歴と外交官としてのキャリア

熊本市立商業高校に入学し、1903年に卒業。その後、1906年に東亜同文書院を卒業し、外交官への道を歩み始めました。1911年にはオレゴン州立大学を卒業し、1914年にはニューヨーク大学を卒業します。1917年には外交官及び領事官試験に合格し、外交官としてのキャリアをスタートさせました。その後、イギリス大使館やロサンゼルス領事館、さらにはニューヨーク総領事など、さまざまな役職を歴任しました。

1941年には特命全権公使としてアメリカ合衆国に派遣され、日米交渉の重要な役割を果たしました。特に、彼の活動は米国における反日情勢を分析する上で重要でした。

米国における反日活動の分析

若杉はニューヨーク総領事として米国における反日活動の実態を調査し、1937年には広田弘毅外務大臣に対して「事変に関する対日運動一覧表」という機密文書を送付しました。この文書では、アメリカ共産党や在米中国人による反日活動が米国世論を代表するものではないと訴え、日米間の対立が中国やソビエト連邦の狙い通りに進むことへの警告を行いました。

彼はその後も、米国内での反日宣伝の実態を分析した報告書を提出し、近衛内閣にソ連やコミンテルンの日米分断工作に巻き込まれないよう警告しました。これらの報告書は、彼の外交的野心と、米国に対する洞察力を示すものです。

米国共産党調書の発行

1939年、若杉が総領事を務めるニューヨーク総領事館で『米国共産党調書』が発行されました。この調書はアメリカ共産党による対米工作の実態をまとめたもので、米国における反日活動が大統領や議会へのロビー活動を通じて影響力を持つことを明らかにしました。特に、新聞やラジオなどを通じて一般市民にも反日感情が広まっていることを指摘しました。

若杉は、米国共産党の活動が中国経済を名目にして反日運動を扇動していること、そしてこの活動が日本に対する国際的な圧力として機能していることを警告しました。

家族と栄典

若杉は若杉桂七と若杉美寿の間に生まれ、妻の若杉マリア文子との間に長男、長女、次男をもうけました。彼の活動は外交官としてだけでなく、家族においても影響を及ぼしました。1940年8月15日には紀元二千六百年祝典記念章を受章しています。

結論

若杉要は、外交官としてのキャリアを通じて日本とアメリカの関係を深く理解し、特に反日宣伝や米国共産党の活動に対して鋭い考察を持っていた人物です。その業績は、戦前の日本外交のなかで重要な位置を占めています。彼の遺産は、今もなお国際関係や外交についての議論に影響を与えています。

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