若林ケン

若林ケン

若林ケン（わかばやし けん、1945年3月12日 - ）は、日本のシャンソン歌手。その歌声と表現力で、多くの人々を魅了し続けています。

プロフィール

栃木県出身の若林は、シャンソン喫茶「銀巴里」で「私は一人片隅で」を聴いたことがきっかけでシャンソンの世界に足を踏み入れました。1974年には、新宿歌舞伎町に自らの店であるバー「ペイトンプレイス」を開店し、シャンソン歌手としての活動を本格的にスタートさせます。

1986年、人形作家の辻村ジュサブロー（現：辻村寿三郎）との出会いをきっかけに、人形舞とシャンソンのコラボレーションという新たな表現方法に挑戦。1989年には、演出家つかこうへいに見出され、舞台『今日子』で岸田今日子と共演。その後も『幕末純情伝』『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』など、つか作品に20年に渡り出演しました。

1993年には、つかこうへい原作の映画『リング・リング・リング 涙のチャンピオンベルト』にも出演。2002年と2004年には、フラメンコダンサーの長嶺ヤス子と共演し、シャンソンとフラメンコの融合を試みるなど、ジャンルを超えた表現活動を展開しました。

2005年、プライベートレーベルR-visionからCDデビューを果たし、「還暦でデビューした中高年に人気のシャンソン歌手」として、テレビや雑誌など多くのメディアに取り上げられました。2007年6月には、ソニー・ミュージックダイレクトより、作詞家・阿久悠が最後に作詞し、作曲家・都志見隆が作曲した「嘆きの天使」を含むアルバム『花束 Bouquet des chansons』でメジャーデビュー。2007年上半期の最年長メジャーデビュー記録を樹立しました。

2008年10月には、作詞を阿木燿子、作曲を宇崎竜童が手掛けた「街角の母」をリリース。2009年には、河村シゲルの呼びかけにより、戦後、吉原の私娼たちが残した文芸集『明るい谷間』の復刻プロジェクト「あさき夢みし」に参加し、書籍、音楽CD、舞台に出演しました。

2016年には日本シャンソン協会に所属。長年経営してきたバー「ペイトンプレイス」を閉店。2017年からは、河村シゲルのプロデュースのもと、YouTubeで朗読を発信するなど、新たな活動にも意欲的に取り組んでいます。2018年には、日本シャンソン協会主催のプリセリーズやNHKパリ祭に出演。2021年5月からは、自身のYouTubeチャンネル「昭和歌謡シアター たまに平成の歌 若林ケン」で、昭和歌謡を中心に歌唱動画を毎日公開しています。

現在は、東京芸術劇場、サントリーホール、草月ホールなどの劇場や、新宿シャンパーニュ、上野池之端Qui、新宿エトワール、銀座蛙たちなどのシャンソニエを中心にライブ活動を行っており、地方公演も積極的に展開しています。

表現へのこだわり

若林はシャンソンを「歌と芝居の中間」と捉え、技術的な巧拙よりも、聴衆の心を揺さぶる表現を追求しています。その歌声は聴く者を涙させるほど感情豊かで、独自の世界観を創り上げています。

近年は、その表現方法を後進に指導することにも力を入れており、指導を受けた門下生の中から、東京シャンソンコンクールなどでグランプリを受賞する者も現れています。

ディスコグラフィー

まるでお芝居のようだった･･･（1994年 SE SYSTEM INC）※廃盤
CHANSON THEATER（2005年3月、R-vision）
CHANSON THEATER PRELUDE（2006年10月、R-vision）
花束 Bouquet des chansons（2007年6月、ソニー・ミュージックダイレクト）
雪が降る（2007年11月、ソニー・ミュージックダイレクト）
街角の母（2008年10月29日、ソニー・ミュージックダイレクト）
あさき夢みし（2009年9月9日、Aaronfield）

関連書籍

吉岡逸夫『嘆きの天使 魂のシャンソン歌手 若林ケン - 僕は一人の娼婦になる』（KKロングセラーズ）
河村シゲル・若林ケン『あさき夢みし』（大洋図書）

ラジオ

さくらのブロラジ（2007年 ラジオ関西）（視聴可能）

関連項目

シャンソン
辻村寿三郎
つかこうへい
長嶺ヤス子
* 阿久悠

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