若葉山貞雄

若葉山 貞雄の生涯と功績

若葉山 貞雄（わかばやま さだお）は、日本の大相撲界で1940年代から1950年代にかけて活躍した力士です。1922年11月9日に中華民国・京都特別市（現在の北京市）で誕生し、幼少期には両親と生き別れるという運命にありました。このため、彼は本土に行って両親を探すことを決心し、その手段として力士になることを選択しました。

若葉山は1939年に安藝ノ海節男の弟子入りを志願しましたが、当初は断られました。その後、中国の呉服屋で奉公しながら過ごしていましたが、相撲の道への夢は消えませんでした。1940年代に、双葉山定次が行った大相撲の巡業の際、彼は再び弟子入りを志し、本土へ渡ったのです。1942年1月、双葉山相撲道場にて初土俵を踏みました。

若葉山の新弟子時代は厳しいものであり、日本海軍の兵士たちとの稽古でも手を焼くことが多かったですが、彼はその経験を通じて成長しました。1946年11月には十両に昇進し、同場所で十両優勝を達成。その結果、わずか1場所で入幕を果たしました。入幕当初は、本名の「岩平」の名で土俵に上がり続けました。この行動の背後には、離ればなれになった母親に自分の存在を知らせたいという強い思いが含まれていました。しかし、最終的にその願いは叶うことはありませんでした。

入幕後、若葉山は四股名を改めることになります。北京会の関係者から「満寿山」という提案がありましたが、元王者・時津風は「戦争で負けたのだから、満寿山は良くない。若葉山という名はどうか」と意見し、若葉山鐘の名を受け継ぐことになりました。これにより、彼は「若葉山 貞雄」と名乗ることになったのです。

小柄ながらも、若葉山は独特の取り口で知られていました。速い突っ張りや、右差しからの多彩な技を繰り出し、特に足取りの技術には定評がありました。その技巧は評価されていながらも、運に恵まれず、技能賞を受賞することはありませんでした。彼のキャリアの中で最も輝かしい瞬間の一つは、1951年5月場所で照国と東富士という二人の横綱から金星を獲得し、殊勲賞を受賞したことです。これによって小結に昇進したものの、その後は負け越しが続き、平幕に降格となるなど波乱の多い相撲人生でありました。

1961年に現役を引退した後、若葉山は「錣山」の名で年寄を襲名し、後進の指導にあたりました。1971年に立田川部屋が分家独立した際、その部屋に移籍し、1987年まで日本相撲協会に在籍しました。若葉山の家族にも相撲界で活動する者が多く、彼には孫にあたる現役力士の三兄弟がいます。

2001年1月17日、若葉山は脳梗塞により78歳でこの世を去りました。彼の相撲道は、次の世代へと受け継がれ、若葉山の名前は日本相撲界で今なお高く評価されています。彼の功績は、ただ力士としての勝敗に留まらず、相撲の世界における人間的な関わりや兄弟子との絆も含まれています。

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