苧ヶ瀬駅

苧ヶ瀬駅（おがせえき）は、岐阜県各務原市鵜沼各務原町五丁目に所在する、名古屋鉄道（名鉄）各務原線の鉄道駅です。駅には「KG03」という固有の駅番号が付与されており、駅名の読み方から日本の鉄道駅の中でも難読駅の一つとして知られています。

本駅は、1927年（昭和2年）9月20日に各務原鉄道の駅としてその歴史を開始しました。その後、運営会社の変遷を経て、1935年（昭和10年）3月28日には合併により名岐鉄道の駅となり、さらに同年8月1日には社名変更により名古屋鉄道の駅となりました。開業以来、駅員が配置されていましたが、時代の流れとともに1967年（昭和42年）2月16日に無人化されました。駅施設の近代化も進み、2007年（平成19年）3月14日には磁気方式の共通SFカードシステムであるトランパスが導入され、乗車券購入や改札通過が便利になりました。しかし、トランパスは2012年（平成24年）2月29日に利用が終了し、これに先立つ2011年（平成23年）2月11日からは、より新しいICカード乗車券システム「manaca」が導入され、現在に至っています。

駅の構造は、地上に設けられた相対式ホームが2面あり、それぞれに線路が1本ずつ敷かれた2線構造です。各ホームは6両編成の列車に対応できる長さを有しています。駅自体は無人駅ですが、駅集中管理システムが導入されており、名鉄岐阜駅からの遠隔監視・管理が行われています。改札口は各ホームの名鉄岐阜方面寄りに1箇所ずつ設置されています。改札口付近には、通常の切符に加え、通勤用manaca定期券（新規・継続）や通学用manaca定期券（継続のみ）の購入が可能な自動券売機が設置されています。ただし、名鉄ミューズカードを使用した決済は、午前7時から午後10時までの時間帯に限られるため注意が必要です。また、自動精算機も設置されており、乗り越し精算やICカードへのチャージなどが利用できます。利用者にとって重要な点は、改札内にホーム間を結ぶ連絡通路がないため、反対方向のホームへ移動する際は、一度改札を出てから入り直す必要があるということです。

駅の利用状況について見ると、他の名鉄駅と比較して利用者は比較的少ない傾向にあります。公開されているデータとして、『名古屋鉄道百年史』によれば1992年度の1日平均乗降人員は771人で、これは当時の名鉄全駅（岐阜市内線均一運賃区間内各駅を除く）の中で246番目、各務原線内では18駅中17番目でした。また、『名鉄120年：近20年のあゆみ』に記載されている2013年度のデータでは、1日平均乗降人員は726人と、わずかに減少しており、当時の名鉄全駅275駅中247番目、各務原線18駅中17番目となっています。これらのデータから、長年にわたり各務原線内では下位の利用状況が続いていることが伺えます。岐阜県や各務原市が発行する統計書には、年間および一日平均の乗降人員に関する詳細な推移が記録されており、駅の利用状況の変遷をさらに詳しく把握することが可能です。

駅の周辺には、憩いの場としても親しまれている苧ヶ瀬池があります。また、歴史的な建造物である村国座（かくむのぶたい）も近く、ここでは毎年10月に少年少女による素人歌舞伎が上演されるなど、地域の文化活動が活発に行われています。駅からの公共交通機関としては、各務原市が運行する「ふれあいバス」のバス停があり、「スーパーヤマワ」という名称で東西線や東西線朝夕便が利用できます。これらの周辺施設や交通アクセスが、地域住民の生活を支えています。

名古屋鉄道各務原線において、苧ヶ瀬駅に停車するのは普通列車のみです。名鉄岐阜方面の隣駅は羽場駅（KG02）、新鵜沼方面の隣駅は名電各務原駅（KG04）です。なお、かつて名電各務原駅と苧ヶ瀬駅の間には、競馬場前駅が存在していましたが、すでに廃止されています。

苧ヶ瀬駅は、開業から現在に至るまで地域の交通を担っています。無人駅ながらシステム化された設備を備え、周辺の自然や文化施設へのアクセス拠点です。

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