英国時間

英国時間（British Time）

英国時間とは、イギリス（英国）で使用されている標準時のことを指します。具体的には、以下の時間が用いられています。

グリニッジ標準時（GMT）：別名、西ヨーロッパ時間（WET）。協定世界時（UTC+0）に相当します。
西ヨーロッパ夏時間（WEST）：夏時間。協定世界時（UTC+1）に相当します。

歴史

鉄道時間

鉄道が普及する以前は、地域ごとに異なる地方平均時が用いられていました。しかし、1840年にグレート・ウェスタン鉄道がグリニッジ標準時を初めて採用したのをきっかけに、他の鉄道会社もこれに追随。1847年には鉄道 clearing house が採用し、翌年までにほぼ全ての鉄道会社がグリニッジ標準時を使用するようになりました。この流れから「鉄道時間」という言葉が生まれました。

法定時間

鉄道時間は次第に他の目的にも利用されるようになりましたが、1858年の訴訟では公式な時間として「地方平均時」が維持されました。しかし、1880年5月14日に「The Times」に掲載された記事で、「グリニッジ時間はイングランド全域で使用されているが、まだ法定時間ではない」と指摘されたことを受け、同年後半にイギリスの法令（時間の定義）法1880によって、グリニッジ標準時（GMT）が正式に採用されました。その後、GMTはマン島（1883年）、ジャージー（1898年）、ガーンジー（1913年）でも採用されました。アイルランドでは、1916年10月1日にダブリン平均時（UTC-0:25）に代わってGMTが採用されています。

夏時間

夏時間は、1916年の夏時間法によって導入されました。この法律では、GMTおよびダブリン平均時を1時間進めることが規定されました。夏時間の期間は、枢密院勅令によって延長することが可能であり、第一次世界大戦中には実際に延長されました。1916年の夏時間は5月21日から10月1日に実施され、標準時間2:00に移行しました。

20世紀初頭には、王室によってサンドリンガム時間（UTC+0:30）が使用されていましたが、混乱を避けるため、エドワード8世によって廃止されました。

英国夏時間の期間は、1972年の夏時間法によって定められました。1972年から1980年までは、3月の第3日曜日が英国夏時間の開始日（復活祭にあたる場合は1週間前）、終了日は10月の第4日曜日でした。1981年から2001年までは、様々な欧州連合の指令に基づいて夏時間の期間が設定され、2002年以降は、3月の最終日曜日を開始日、10月の最終日曜日を終了日とする法律が施行されています。1998年以降、イギリスと欧州連合（EU）の夏時間開始日と終了日は統一されています。

中央ヨーロッパ時間導入の動き

1968年から1971年にかけて、イギリスは夏時間を通年で実施することで、中央ヨーロッパ時間を試験的に採用しました。リチャード・バトラーは貴族院での議論でこの試みを歓迎しましたが、1971年に議論の末、この実験は中止されました。中央ヨーロッパ時間導入の是非は、様々な政治家によって長年にわたって提起されており、経費と利益の分析を行うための2011年の提案もその一つです。

権限委譲

北アイルランドの標準時決定の権限は北アイルランド議会に委譲されていますが、この権限は一度も行使されていません。スコットランドとウェールズでは、標準時は留保事項であり、イギリス議会のみが立法権を有しています。

IANA Time Zone Database

IANA Time Zone Databaseにおいて、英国の標準時はEurope/Londonとして登録されています。これは、ISO 3166-1 alpha-2の国コード"GB"を持つ領域を指します。ゾーン名Europe/Guernsey、Europe/Isle_of_Man、Europe/Jerseyは独自のISO 3166-1 alpha-2があるため存在していますが、実際にはEurope/Londonの別名として扱われています。また、世界中のイギリスの海外領土についても、いくつかのエントリーが存在します。

英国の海外領土における時間帯

イギリスの海外領土では、以下の時間帯が使用されています。

UTC-8: ピトケアン諸島
UTC-5 (EST):
夏時間非適用: タークス・カイコス諸島
夏時間非実施: ケイマン諸島
UTC-4 (AST):
夏時間適用: タークス・カイコス諸島
夏時間非適用: バミューダ諸島
夏時間非実施: アンギラ、イギリス領ヴァージン諸島、モントセラト
UTC-3:
夏時間適用: バミューダ諸島
夏時間非実施: フォークランド諸島
UTC-2: サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島
UTC (GMT):
夏時間非適用: 英国（イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド）、ガーンジー、マン島、ジャージー
夏時間非実施: セントヘレナ・アセンションおよびトリスタンダクーニャ
UTC+1 (CET):
夏時間適用: 英国（イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド）、ガーンジー、マン島、ジャージー
夏時間非適用: ジブラルタル
UTC+2 (EET):
夏時間適用: ジブラルタル
夏時間非適用: アクロティリおよびデケリア
UTC+3 (夏時間適用): アクロティリおよびデケリア
* UTC+6: イギリス領インド洋地域

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