英彦山

英彦山

英彦山（ひこさん）は、福岡県田川郡添田町と大分県中津市山国町の境に位置する標高1,199メートルの山です。旧豊前国に属し、耶馬日田英彦山国定公園の一部として、自然の美しさと歴史的な価値が評価されています。日本百景や日本二百名山にも選ばれ、弥彦山（新潟県）や雪彦山（兵庫県）と共に「日本三彦山」として広く知られています。また、国の史跡に指定されており、「日本三大修験山」の一つとも認められています。

概要

英彦山の山は主に北岳・中岳・南岳の3つの峰から成り、最高峰は南岳です。福岡県では、他に大分県日田市にある釈迦岳（1,230m）や八女市の御前岳（1,209m）に次ぐ高さを誇ります。元々は「彦山」と呼ばれていましたが、1729年に霊元法皇により「英」の文字が追加されました。山の中腹、約720メートルの地点には英彦山神宮奉幣殿があります。ここは参拝客に人気の霊地であり、近年は参道沿いにスロープカーが設置され、利用者が英彦山神宮奉幣殿までのアクセスをより快適に楽しめるようになりました。

また、北岳の北東には「望雲台」と呼ばれる絶景スポットがあります。この場所は足場が狭く、ロッククライミング好きには人気です。下界では森林や遠方には鷹ノ巣山を望むことができ、訪れる人々を魅了しています。英彦山の麓は深倉峡で、美しい紅葉の名所としても知られています。特に「男魂岩」と「女岩」は、毎年11月に行われる「男魂祭」の舞台となるなど、多くの人々に親しまれています。

さらに、英彦山には多くの歴史的遺跡も存在します。縄文時代から人々が住み続けてきた証拠が残されており、遺物や集落の跡が確認されています。特に、福岡県下では特異であることから、交流が盛んであったことが伺えます。英彦山は修験道の中心地とされ、この地での修行は武芸や精神的な鍛錬に重きを置いていました。古い時代には、数千人の僧兵が集まり、周辺地域に強い影響を持っていました。

歴史

英彦山は、豊前佐々木氏を拠点とした地域であり、古くから彼らの支配下にありました。彼らは過去の修験道において非常に重要な役割を果たし、武士たちの集結地として栄えました。しかし1581年には、大友氏との戦闘により、数多くの坊舎が焼かれ、勢力が衰退しました。この後、細川氏の支配を受けることとなり、さらなる衰退を経験しました。豊前佐々木氏は、香春岳城の攻撃を受けましたが、完全に滅びることはありませんでした。

また、平成年代の調査によって、英彦山の集落跡が発見され、800の集落が存在していたことが判明しました。昔、英彦山には「英彦山三千八百坊」とも言われていた集落が広がっていたと考えられています。

逸話

英彦山には神秘的な伝説がいくつか存在します。その中でも、「彦山豊前坊」という大天狗の伝説は特に有名です。彼は信仰心の強い者を助け、怠け者には罰を与える存在とされています。この伝説に基づき、航空自衛隊築城基地において、天狗を象徴とする機体マークがデザインされました。

さらに、英彦山北東には高住神社があり、天狗杉という御神木が祀られています。この地域は古くからの修験道場として知られ、多くの山伏たちが修行していました。2014年には、英彦山の研修に参加した女子生徒たちの間で噂のひとつが広まりました。それは彼女たちが霊に取りつかれたのではないかというものでした。

英彦山は、自然の美しさと豊かな歴史を持つ特別な場所として、訪れる人々に貴重な体験を提供しています。

もう一度検索