英徳市

英徳市：広東省最大の県級市

広東省清遠市に位置する英徳市は、同省最大の県級行政区です。歴史は古く、かつては英州として知られていました。紀元前111年、前漢によって湞陽県と含洭県が設置されたのが始まりです。1195年には南宋の府制施行により英徳府が設置され、元代には英徳州、明代には英徳県と変遷を重ねてきました。中華人民共和国成立後は韶関市の管轄下にありましたが、1988年に清遠市の管轄となり、1994年には県級市に昇格しました。

行政区画

英徳市は1街道と23鎮から構成されています。街道は英城街道、鎮は沙口鎮、望埠鎮、橋頭鎮、青塘鎮、白沙鎮、大站鎮、西牛鎮、九竜鎮、浛洸鎮、大湾鎮、石灰鋪鎮、石牯塘鎮、横石塘鎮、横石水鎮、連江口鎮、波羅鎮、大洞鎮、黎渓鎮、水辺鎮、英紅鎮、東華鎮、黄花鎮、下[石太]鎮です。

産業

英徳市は豊かな自然資源に恵まれています。39種類もの鉱物資源が発見されており、硫黄、鉄、金、銀、銅、亜鉛、石炭などが豊富に埋蔵されています。特に石灰岩の産出が多く、典型的なカルスト地形が広がっています。近年はセメント工業が著しく発展し、広東省最大のセメント生産基地となっています。多くのセメント工場が操業する一方で、環境汚染問題も課題となっています。

一方、観賞用石材の産地としても有名で、「英徳石（英石）」は中国四大鑑賞石の一つに数えられています。農業も盛んで、米、サトウキビ、タケノコなどが生産されています。特に茶の生産は盛んで、「英徳紅茶」は中国五大紅茶の一つとして知られ、イギリス女王への献上実績もあるほどです。近年では、レイシの香りをつけた茘枝紅茶も作られています。

交通

英徳市は、交通の便にも恵まれています。京広線が市街地の東側に通っており、英徳駅が設置されています。また、高速鉄道である武広旅客専用線も市街地の西側に通っており、英徳西駅が設置されています。高速道路では、G4京珠高速道路が市域の東寄りを南北に通っています。

観光

英徳市には多くの観光地があります。燕子岩山脈にある石灰岩の鍾乳洞である宝晶宮は、馬壩人よりも古い原人の頭蓋骨が発見されたことで知られています。九龍鎮近辺には、英西峰林走廊という奇岩風景地区があり、観音谷や如来峰など、自然の奇岩が独特の景観を作り出しています。その他、英徳大峡谷や南山風景区など、見どころ満載です。

英徳市は、歴史、産業、自然の多様性が織りなす魅力的な都市です。今後の発展にも注目が集まります。

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