レイシ

レイシ（ライチ）について

レイシ（学名：Litchi chinensis）は、ムクロジ科レイシ属に分類される常緑高木で、その果実が一般に「ライチ」として知られています。レイシ属は1属1種であり、中国の嶺南地方が原産です。しばしば混同されるバンレイシやバンレイシ科とは、分類学上異なる種です。

概要

レイシは常緑の高木で、葉は偶数羽状複葉を形成し、互生します。春には黄緑色の花を咲かせ、夏になると赤い鱗状の果実が実ります。この果皮を剥くと、半透明で多汁の果肉（仮種皮）が現れ、その中には大きな種子が1つあります。

中国では古くから栽培されており、上品な甘さと香りが珍重されてきました。しかし、鮮度が保ちにくく、「1日で色が変わり、2日で香りが失せ、3日後には味も損なわれる」と言われるほどです。唐の時代の楊貴妃がライチを愛し、長安まで早馬で運ばせたという逸話は有名です。

呼称

中国語（普通話）では「リーヂー（Lìzhī）」と発音され、属名の由来となっています。英語では「lychee」と表記され、広東語や閩南語風に「ライチー」、普通話風に「リーチー」と発音されることがあります。

栽培

レイシは弱酸性で水はけと保水性の良い土壌を好みます。生育期には多量の水を必要としますが、冬季はやや乾燥気味に育てます。害虫対策として葉水を与えます。越冬には最低0℃以上の温度が必要で、5～10℃以上が望ましいとされています。積雪や霜には弱いため、栽培地域は限られます。寒い地域では鉢植えにして室内で温度管理を行うのが一般的です。

日当たりの良い場所を好みますが、幼木の場合は真夏に半日陰で育てます。成木は2月から4月に開花し、自然界ではハチやアリが受粉を助けますが、栽培では人工授粉も行われます。結実には、冬季に5～10℃の環境に一定時間さらす必要がある品種もあります。

大規模な商業栽培には、高温多湿で多雨な生育期と短い冬季、無霜地帯であることが条件となります。このため、熱帯の丘陵・高原地帯や、亜[[熱帯]]気候の地域で栽培されています。具体的には、中国南部、台湾、東南アジア、オーストラリア北部、フロリダ、ハワイ、レユニオン、マダガスカルなどが挙げられます。日本国内では沖縄県、鹿児島県、宮崎県などで小規模に栽培されています。

流通

主に中国や台湾からの輸入品がスーパーなどで販売されています。国産のものは九州以南の暖かい地域で少量生産されるのみです。冷凍品もありますが、生の果実は7～8月頃に流通します。輸入食品としての安全性には注意が払われており、輸入検査が行われています。過去には、基準値を超える農薬成分が検出された事例もあります。

利用

半透明の果肉は甘酸っぱく、生食やシロップ漬けで楽しまれるほか、リキュールなどのアルコール類のフレーバーとしても広く利用されています。

毒性

未熟な果実には、ヒポグリシンという成分が含まれており、これが低血糖症を引き起こす可能性があります。インドでは、貧困層の子供が未熟なライチを空腹時に食べ、低血糖から脳炎を起こして死亡する事故が多発しています。この症状は感染症に似ているため、かつては原因不明の風土病と考えられていました。

関連項目

ランブータン
リュウガン

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