英祖 (琉球国王)

英祖の生涯と治世

英祖（えいそ、1229年頃 - 1299年8月31日）は、琉球王国の歴史書に頻繁に登場する王です。彼の神号は英祖日子（えいぞのてだこ）で、沖縄本島で初の王朝を築いたとされる天孫氏の最後の王、思金松兼王の四男、伊祖城の恵祖世主の子です。英祖が生まれた際、母が太陽を飲み込む夢を見たことがあり、これに由来して「てぃだこ（太陽の子）」と称されました。

系譜と背景

英祖は、舜天王統の義本から禅譲を受け、彼の治世下で5代の国王が約90年間英祖王統系譜を形成しました。このため、彼は英祖王統の基礎を築いた重要な存在とされています。

近年、京都の漢文学者石井望は、中国福建省からの音で英祖が「あんず」と称されることから、古琉球の王に関する新たな解釈を提示しています。

治世の特徴

英祖の在位中、特に13世紀半ばの咸淳年間（1265年-1274年）に、禅鑑という禅僧が小那覇港に流れ着きました。彼は「補陀落僧」と名乗り英祖は彼の徳を称え、浦添城の西側に補陀落山極楽寺を建立しました。この寺は琉球における仏教の始まりを象徴しています。

『おもろさうし』という文学作品の中では、英祖の尊称が「いくさもい」（戦いに勝れた人）と記されています。彼は若い頃から戦いでの指導力を発揮し、琉球とその周辺地域の安定を図りました。特に、1291年に元軍が沖縄に襲撃を試みた際、英祖はこれを撃退したという逸話が伝わっていますが、実際にはこの年、元軍が攻撃したのは台湾であったとの説もあります。

家族とその影響

英祖の父は恵祖世主であり、母の詳細は不明です。英祖には複数の息子がいて、その中の大成が二代目国王となりました。次男の湧川王子は今帰仁城主となり、北山王に続く系譜を持っています。彼の子孫は、今帰仁按司や羽地按司といった有力な按司家系に分かれました。

英祖の遺産

現在、浦添市にある浦添ようどれは英祖の存在を示す貴重な史跡として知られています。その歴史的意義や文化的遺産は、現在に至るまで大切にされています。

英祖の治世や家族の系譜は、単に歴史的な事実にとどまらず、琉球王国の文化や社会構造、さらにはその後の王朝にも大きな影響を与えました。彼の時代に築かれた基盤は、後の王たちに受け継がれ、琉球の歴史における重要な一ページとして刻まれています。これにより英祖は琉球王国の歴史において不可欠な存在となりました。

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