英雄と悪漢 (曲)

英雄と悪漢 (Heroes and Villains) - ザ・ビーチ・ボーイズ

「英雄と悪漢」（Heroes and Villains）は、アメリカのロックバンド、ザ・ビーチ・ボーイズが1967年に発表した革新的な楽曲です。ブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスという、異才を放つ2人によって共作されました。

制作の背景

この楽曲は、ブライアン・ウィルソンがフィル・スペクターのプロデュースによるアイク&ティナ・ターナーの「River Deep – Mountain High」や、1910年代の楽曲「The Bells of St. Mary's」からインスピレーションを受けて制作されました。これらの楽曲が持つ革新的なサウンドと、古き良き時代のメロディが、彼に新たな音楽の可能性を示唆したと言えるでしょう。

リリースと評価

「英雄と悪漢」は1967年7月にシングルA面としてリリースされました。このシングルは、ザ・ビーチ・ボーイズが設立した新レーベル「ブラザー・レコード」から最初にリリースされた作品であり、バンドにとって新たな出発を意味していました。ただし、配給は従来通りキャピトル・レコードが行いました。

同年9月には、アルバム『スマイリー・スマイル』にも収録されました。しかし、この楽曲は元々、お蔵入りとなった幻のアルバム『スマイル』のために制作されたものでした。複数の楽曲の断片を繋ぎ合わせるという、当時としては非常に実験的な手法が用いられています。リード・ボーカルはブライアン・ウィルソンが担当しました。

リリース当時、「英雄と悪漢」は賛否両論を巻き起こしました。その複雑な構成と実験的なサウンドは、従来のビーチ・ボーイズのイメージとは大きく異なり、ファンや批評家の間で意見が分かれました。

しかし、現在ではその革新性と音楽的な完成度が高く評価されており、ザ・ビーチ・ボーイズの代表作の一つとして認知されています。

チャート成績

「英雄と悪漢」は、1967年8月26日から9月2日にかけて、ビルボード・Hot 100で2週連続12位を記録しました。また、全英シングルチャートでは8位を記録しています。

ライブ・バージョン

1973年にリリースされたライブ・アルバム『ビーチ・ボーイズ・イン・コンサート』には、「英雄と悪漢」のライブ・バージョンが収録されています。このバージョンでは、アル・ジャーディンがリード・ボーカルを担当しています。

「英雄と悪漢」は、ザ・ビーチ・ボーイズの音楽史における重要なターニングポイントとなった楽曲であり、ブライアン・ウィルソンの音楽的才能を強く印象付ける作品と言えるでしょう。

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