英雄伝説IV 朱紅い雫

『英雄伝説IV 朱紅い雫』（えいゆうでんせつ4 あかいしずく、THE LEGEND OF HEROES IV: Gagharv trilogy second "A Tear of Vermillion"）は、1996年に日本ファルコムから発売されたコマンド選択型ロールプレイングゲームです。同社の人気RPGシリーズ《英雄伝説》の第4作であり、〈ガガーブトリロジー〉の2作目にあたります。2000年には自社によるリメイク版も登場しました。

概要

物語は、ガガーブ歴と呼ばれる暦が使われる架空の世界、エル・フィルディン大陸を舞台に展開します。主人公アヴィンは、生き別れた妹アイメルを探すため、親友マイルと共に旅に出ます。その旅の中で、アヴィンは神々を巡る争いに巻き込まれていくことになります。

本作は、前作『英雄伝説III 白き魔女』から56年前、ガガーブ歴936年を舞台としており、トリロジーの中で最も古い時代を描いています。オリジナル版は1996年 5月24日にPC-9800シリーズ向けに発売され、ファルコム作品として初めてMIDI音源に対応しました。

PC-9800シリーズは、1982年の発売以来、ファルコムが長年ゲーム開発を行ってきたプラットフォームでしたが、本作発売時にはすでに末期を迎えていました。そのため、『英雄伝説IV 朱紅い雫』は《英雄伝説》シリーズにおける最後のPC-98作品となりました。

2000年 12月7日には、Microsoft Windows向けにリメイク版が発売されました。このリメイク版は、システムが一新され、ストーリーにも大幅な変更が加えられています。そのため、PC98版を「旧」、Win版を「新」と区別されることがあります。Win版は『英雄伝説V 海の檻歌』よりも後に発売されており、自社開発作品としては最後に発売された〈ガガーブトリロジー〉であることから、「最後の英雄伝説（ガガーブトリロジー）」というキャッチコピーが用いられました。

また、ライセンス提供により、他社が開発したPlayStation (PS) およびPlayStation Portable (PSP) への移植版も存在します。さらに、プロジェクトEGGでも配信されています。

物語

ガガーブ歴936年、アヴィンは親友マイルと共に、8年前に生き別れた妹アイメルを探す旅に出ます。旅の中でアヴィンは、神々を巡る争いに巻き込まれていくことになります。

ゲームシステム

PC98版とWin版ではゲームシステムが大きく異なります。どちらも、基本的にはコマンド選択型のRPGであり、NPCとの会話やイベントを通じて物語が進んでいくという点は共通しています。また、敵との戦闘で経験値を獲得し、レベルアップによってキャラクターが成長していくという点も共通していますが、成長システムは大きく異なります。

PC98版

PC98版は、非常に自由度の高いシステムが特徴です。クリアに必須ではないオープンシナリオを採用しており、パーティーメンバーもある程度自由に選択できます。主人公アヴィンは、オープニングイベントでの選択によって使用できる魔法や成長パターンが変化します。他のシリーズ作品とは異なり、「章」などのストーリーの区切りは用意されていません。

Win版

Win版は、PC98版と比較して自由度が低くなっています。パーティーメンバーはシナリオに沿って固定され、オープンシナリオは廃止されました。メインシナリオに沿った一本道のゲーム展開となっています。全体として『英雄伝説III』から発展した『英雄伝説V』のシステムをより進化させたものとなっており、〈ガガーブトリロジー〉としての統一感が見られます。PC98版とは異なり、他の《英雄伝説》シリーズと同様に、シナリオに区切りがつけられています。本作では「章」ではなく「部」によって分けられています。

世界設定

PC98版とWin版では世界設定にも異なる点が多く存在します。現在の公式設定はWin版に準拠しています。

物語の舞台は、南北に走る巨大な大地の裂け目「ガガーブ」の西側に位置するエル・フィルディン大陸です。エル・フィルディンは、常に濃い霧に覆われた「霧の海」や、険しい「レギオン山脈」、そして「混沌の渦」と呼ばれる海によって外界から隔絶された世界となっています。大陸の中央部には内海が存在し、北東と南西の2カ所に陸地があります。国はエル・フィルディン王国1つで、陸地はノトス地方、ボレアス地方、デュシス地方の3地方に分けられています。

信仰

エル・フィルディンは、かつて光の神バルドゥスと闇の神オクトゥムが戦った地であり、「神々の眠る地」とも呼ばれています。バルドゥス信仰が盛んで、住民の生活に深く根付いていますが、少数ながらオクトゥムを信仰する人々も存在します。

登場人物

主人公

アヴィン: 本作の主人公。17歳の少年。幼い頃に両親を亡くし、妹アイメルと共に教会で育てられました。オクトゥムの使徒の襲撃によってアイメルと生き別れ、その後はレミュラスに育てられます。レミュラスの死後、アイメルを探す旅に出ることを決意します。剣と黒魔法の使い手です。

パーティーキャラクター

マイル: アヴィンの親友。ブーメランと白魔法の使い手。
ルティス: オクトゥムの使徒としてアヴィン達の前に現れた少女。ナイフの使い手で、白魔法と黒魔法を使用できます。
ガウェイン: エル・フィルディンの三賢者の一人で、バルドゥス教会の顧問。白魔法とメイスの使い手です。

機種・パッケージによる違い

PC98版: フロッピーディスクとCD-ROMで発売。
Win版: CD-ROMとDVD-ROMで発売。XP対応版、新パッケージ版、普及版、Vista対応版などが存在します。
PlayStation版: GMF開発・亜土電子工業発売。
PSP版: 『英雄伝説ガガーブトリロジー朱紅い雫』としてバンダイから発売。Win版がベースとなっています。

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