茂庭台団地

茂庭台団地：仙台の丘陵地に広がるニュータウン

仙台市太白区の太白山西方に位置する茂庭台団地は、1982年の分譲開始を機に誕生したニュータウンです。かつては「茂庭団地」と呼ばれていましたが、住所変更に伴い現在の名称となりました。「モニー」や「茂庭ニュータウン」といった愛称でも親しまれています。

開発の経緯：高度経済成長期と環境保護の狭間

茂庭台団地の開発は、仙台市の都市計画、特に新住宅市街地開発事業の一環として進められました。1960年代後半から始まった高度経済成長期、仙台都市圏では住宅需要の急増を受け、多くの丘陵地が開発されました。しかし、乱開発への批判も高まり、仙台市は環境保護に配慮した開発を進める方針を打ち出しました。

茂庭台団地の計画発表は1973年。当初の計画規模は340haでしたが、自然保護を求める反対運動を受け、大幅に縮小され、130haとなりました。開発着工は1978年、オイルショック後の安定成長期に当たります。当初は仙台湾地区の工業集積を支える住宅地としての役割が想定されていましたが、結果的には、仙台市中心部への通勤圏として発展することとなりました。

開発コンセプト：21世紀のふるさとづくり

茂庭台団地の開発テーマは「21世紀のふるさとづくり」でした。仙台に移り住んだ人々が、将来この地を故郷と感じて生活できるような街づくりを目指しました。そのため、住宅用地は全敷地の36.7%に留め、道路、教育施設、公園などに約40%、そして緑地に約22.7%を充てました。また、宮城県沖地震後の分譲開始という経緯から、生垣も多く見られます。

交通アクセス：自動車、バス、高速道路

茂庭台団地へのアクセスは、自動車、バス、高速道路が利用できます。仙台市中心部からは車で約20～25分、仙台空港からは約30分です。仙台西道路の利用により、距離の割に短時間でアクセスできます。

バス路線は仙台駅や長町駅から運行されていますが、本数が少なく、運賃も高いため、不便さを指摘する声もあります。高速道路は東北自動車道の仙台宮城ICと仙台南ICが近く、利用しやすい環境です。

施設：充実した生活環境

茂庭台団地内には、小学校、中学校、市民センター、ショッピングセンター、医療施設、公園などが整備されています。高層マンションや戸建て住宅が混在し、多様な住居形態が提供されています。当初計画されていた第二小学校用地は、後に看護専門学校として活用されました。

沿革：歴史を振り返る

茂庭台団地の歴史は、周辺地域の開発やインフラ整備の歴史と深く関わっています。馬越石トンネルの開通（1892年）、仙台空港のジェット化（1972年）、東北自動車道、東北新幹線の開通、仙台港の開港など、近年の仙台市の発展を背景に、茂庭台団地も発展してきました。一度は計画が白紙撤回された仙台市営モノレール南西線計画も、開発初期には住民増加の期待を膨らませる要因となりました。

まとめ：自然と都市生活の調和

茂庭台団地は、高度経済成長期における都市開発と環境保護の両立という課題の中で生まれたニュータウンです。自然豊かな環境と都市部へのアクセスを両立させ、現在も多くの住民が暮らす地域社会を形成しています。今後も、歴史と自然を尊重した発展が期待されます。

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