茂林寺

茂林寺：分福茶釜の伝説が息づく古刹

群馬県館林市堀工町に佇む茂林寺は、曹洞宗に属する由緒ある寺院です。青竜山を山号とし、釈迦牟尼仏を本尊として祀っています。室町時代中期、1426年（応永33年）に美濃国出身の大林正通禅師によって開山されました。その後、1468年（応仁2年）には青柳城主赤井正光（照光）が帰依し、寺領8万坪を寄進、伽藍が整備されました。

分福茶釜伝説と狸たち

茂林寺は、誰もが知る狸の伝説「分福茶釜」ゆかりの寺として広く知られています。「分福茶釜」には、お伽話と伝説の二つの解釈が存在しますが、いずれも人々を魅了する物語です。寺院では、伝説の茶釜を実際に所蔵しており、一般参拝者も拝観可能です（有料）。

境内には、いたるところに狸の置物が配置され、ユニークな雰囲気を醸し出しています。それらは「狸コレクション」と呼ばれ、日本各地の狸にまつわるグッズや剥製なども多数展示されています。参道の山門へ向かう道には、21体の狸の像が参拝客を出迎える、見事な光景が広がります。

静寂と歴史に包まれた境内

茂林寺の境内は、歴史と自然の調和が美しい空間です。本堂前には、館林市の保存樹に指定されたシダレザクラや、県指定天然記念物である樹齢約600年のラカンマキの巨木が悠然とそびえ立ち、荘厳な雰囲気を醸し出しています。古木の生命力と、静寂に包まれた境内は、訪れる者の心を穏やかに癒してくれます。

アクセスと周辺環境

茂林寺へのアクセスは良好です。東武伊勢崎線茂林寺前駅から徒歩約10分、東北自動車道館林ICからも約4.5kmと、車でのアクセスも容易です。

寺の周辺には、観光スポットも点在しています。北側には、県指定天然記念物であり、文化庁の「日本遺産」にも指定されている茂林寺沼湿原が広がり、貴重な湿原植物の生育地として保護されています。また、すぐ近くには東武トレジャーガーデンがあり、そこには分福茶釜をモチーフにしたオブジェや、「分福茶釜」が由来のシンボルローズ「シェアリング・ア・ハピネス」が見られます。さらに、ダークダックス館林音楽館も隣接しており、文化に触れる機会にも恵まれています。

茂林寺が登場する作品

茂林寺は、数々の作品にも登場し、その名を知らしめています。映画『喜劇 駅前茶釜』（1963年）、テレビアニメ『宇宙よりも遠い場所』（2018年）などでその姿を見ることができます。また、地元群馬県を象徴する上毛かるたでは、「ふ」の札に「分福茶釜の茂林寺」と詠まれています。

茂林寺は、歴史と伝説、そして自然が織りなす魅力的な場所です。分福茶釜の物語に思いを馳せながら、静寂に包まれた境内を散策し、歴史と自然の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。

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