茅野良男

茅野良男

茅野良男（かやの よしお、1925年1月19日 - 2016年7月3日）は、日本の哲学者であり、ドイツ哲学、特にマルティン・ハイデッガーの研究において多大な貢献をしました。大阪大学名誉[[教授]]であり、文学博士（京都大学）の学位を有しています。

生涯

茅野良男は、大分県に生まれました。1949年に東京大学哲学科を卒業後、研究者の道を歩み始めます。北海道大学助[[教授]]、教授を経て、お茶の水女子大学教授、そして大阪大学人間科学部教授を歴任しました。1977年には、「ドイツ観念論の研究 絶対知の形成と成立」という論文で京都大学から文学博士の学位を授与されました。1988年に大阪大学を定年退官し、名誉[[教授]]となりました。退官後も大阪国際大学教授として教鞭を執り続けました。

2016年7月3日、急性呼吸器不全のため91歳で逝去。その功績を称えられ、正四位を叙位されました。

研究内容

茅野良男の研究は、ドイツ哲学、とりわけハイデッガーの哲学が中心でした。ハイデッガーの思想を深く理解し、その哲学的な意義を日本に紹介することに尽力しました。また、ドイツ観念論、弁証法、実存主義など、幅広い分野にわたる著作を通じて、哲学の普及に貢献しました。

著書

茅野良男は、数多くの著書を執筆しました。以下に代表的な著書を挙げます。

『ディルタイ』（有斐閣、1959年）
『歴史のみかた』（紀伊国屋新書、1964年）
『実存主義入門 新しい生き方を求めて』（講談社現代新書、1968年）
『弁証法入門 正しい認識を求めて』（講談社現代新書、1969年）
『哲学的人間学』（塙新書、1969年）
『初期ハイデガーの哲学形成』（東京大学出版会、1972年）
『認識論入門 こころを考える』（講談社現代新書、1973年）
『ドイツ観念論の研究 絶対知の形成と成立』（創文社、1975年）
『ハイデガーにおける世界・時間・真理』（朝日出版社、1981年）
『人類の知的遺産 75 ハイデッガー』（講談社、1984年）
『中期ハイデガーの思索と転回』（創文社、1985年）

これらの著書は、哲学の研究者だけでなく、一般の読者にも広く読まれ、哲学への関心を高める上で重要な役割を果たしました。

翻訳

茅野良男は、翻訳家としても活躍しました。ヤスパース、ニーチェ、シェリング、ショーペンハウアー、ジンメル、ハイデッガーなど、著名な哲学者の著作を翻訳し、日本の読者に紹介しました。特に、ハイデッガーの著作の翻訳は、日本のハイデッガー研究に大きな影響を与えました。

ヤスパース『現代ヨーロッパの精神的課題』（共訳、創元社、1954年）
ニーチェ『曙光』（理想社、1962年、ちくま学芸文庫、1993年）
シェリング『ブルーノ』（中央公論社、1974年）
ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』（白水社、1974年）
ジンメル『生の哲学』（白水社、1977年）
ハイデッガー『杣径』（共訳、創文社、1988年）
ハイデッガー『哲学入門』（共訳、創文社、2002年）

茅野良男の業績

茅野良男は、ドイツ哲学の研究、教育、翻訳を通じて、日本の哲学界に多大な貢献をしました。彼の業績は、日本の哲学研究の発展に不可欠なものであり、今後も長く評価され続けるでしょう。

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