草地保隆

地方競馬を駆け抜けた名手：草地保隆の軌跡

草地保隆氏（くさちやすたか）は、1973年1月22日、鹿児島県曽於郡生まれの元地方競馬騎手（岩手所属）です。少年時代はバキュームカー運転手を志望していたという意外な過去を持ちますが、中学卒業後、地方競馬教養センターに入学。後に地方競馬で活躍する水野貴史氏と同期の仲間として、華々しいキャリアをスタートさせました。

1990年4月15日、水沢競馬場での初騎乗から僅か1ヶ月後の6月2日、盛岡競馬場にて初勝利を飾ります。デビューイヤーは8勝を挙げ、順調な滑り出しを見せました。2年目には15勝を記録するも、大きな飛躍とはなりませんでした。しかし、8月には高知競馬場で行われた「第6回全日本新人王争覇戦」に出場し、同期の水野氏や小牧毅氏らと競い合います。結果は9着と悔しい結果に終わりましたが、この経験が彼の成長の礎となったことは間違いありません。

3年目の1992年には特別レースで初勝利を収め、37勝を挙げました。そして1993年には、62勝をマークし、リーディング6位にランクイン。若手騎手として大きく注目を集める存在となりました。1997年には、盛岡競馬場の東北サラブレッド大賞典をロイヤルハーバーで制覇。自身初の重賞制覇という快挙を成し遂げ、リーディングでも5位と自己最高の成績を残します。

1999年には、川崎競馬場のスパーキングレディーカップに遠征。そこで騎乗した第4競走で勝利を収め、南関東での初騎乗初勝利という新たな記録を達成しました。

2003年には、盛岡競馬場の東北優駿で13頭中13番人気と低評価だったベルノネに騎乗。道中最後方を追走するも、最後の直線で一気に抜け出し、1着に輝きました。この大金星は、同時に彼のダート重賞初勝利となりました。その後は自厩舎のシャンハイジャパンの主戦騎手となり、同馬で重賞3勝を含む8勝を挙げるなど、黄金時代を築きました。

草地氏の騎乗スタイルは、逃げと追い込みを得意としていました。特に追い込みには強いこだわりを持っており、後方から一気に捲る豪快な競馬は、多くの観客を魅了しました。水沢競馬場では、後方から早々と先頭に立つ奇襲的な仕掛けで観客を驚かせることもありました。

2008年12月15日、水沢競馬場で行われた「たろし滝レース」では、スタートで大きく出遅れながらも、1周目の3～4コーナーで全馬を一気に交わして先頭に立ち、そのまま逃げ切り勝ちを収めました。このレースは、彼の卓越した騎乗技術と勝負師としてのメンタリティを改めて印象付けるものとなりました。

2008年には金杯・コンバットキックで重賞を制覇するなど活躍を続けましたが、2009年3月9日をもって現役を引退しました。引退レースとなる直前には、水沢競馬場でのレースで900勝目前となる899勝目を挙げ、その偉大なキャリアに幕を閉じました。

引退後は、大井競馬場、川崎競馬場と外厩で厩務員として活躍。長年に渡り培ってきた経験と知識を活かし、後進の育成にも尽力しています。

通算成績は8698戦899勝、2着879回、勝率10.3%、連対率20.4%という輝かしい記録を残しました。主な騎乗馬には、ロイヤルハーバー、マイダイナマイト、ベルノネ、シャンハイジャパン、コンバットキックなどが挙げられます。

草地保隆氏の地方競馬における功績は、多くの競馬ファンによって語り継がれることでしょう。彼の勇敢で豪快な騎乗スタイル、そして類まれな勝負勘は、地方競馬史に輝く一頁を刻み込んだと言えるでしょう。

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