草木塔

草木塔の概要

草木塔（そうもくとう）とは、草木に感謝を捧げ、その成長を願う形で建設された石碑のことです。この草木塔は特に1780年（安永9年）に、米沢藩の上杉鷹山の時代に設置されました。その起源は、1772年（安永元年）に米沢藩の江戸屋敷が焼失し、その再建にあたり山形県米沢市内の木々が伐採されたことにあります。その後、1780年の大火も影響し、さらなる伐採が行われました。この状況に対する感謝の意を示すために草木塔が建立されたと考えられています。

最初に建てられた草木塔は、高さ約90cm、幅52cm、厚さ24cmの自然石であり、上に「草木供養塔」と刻まれています。この条石碑に限らず、「草木塔」や「草木供養経」、「山川草木悉皆成仏」といった瓦文が確認されることもあります。草木塔は主に自然石でできており、部分的に研磨されたものも見受けられます。日本国内においては160基以上の草木塔が存在し、驚くことにその約9割は山形県内、特に置賜地方に集中しています。これは上杉鷹山による教化が影響を与えたとの見解があります。

江戸時代以降、草木塔は林業が活発な地域に多く建てられてきました。具体的には、米沢市万世町梓山や米沢市田沢、米沢市簗沢、米沢市綱木などの「木流し」が行われた場所に多く見られます。また、米沢市と隣接する川西町では23基の草木塔が確認されており、地域の歴史や文化の一部となっています。

1986年（昭和61年）には、米沢市の三沢公民館前に自然保護の精神を次世代に伝える目的で新たな草木塔が建立されました。このように、草木塔は日本の歴史や文化、そして自然への尊重を象徴するものとして、今もなおその存在を示し続けています。

さらに、2000年代には山形大学が「自然と人間との共生」をテーマにしたプロジェクトを実施し、その成果をまとめた書籍や写真集が発表されました。この活動は、草木塔の重要性とそれらが担う意義を広く知らしめるための貢献となっています。

2019年には東京都町田市小野路町で、元文（1736年-1741年）と彫られた草木塔が発見され、新たな発見として国内で現存する最古の草木塔の可能性が指摘されています。これにより、草木塔の歴史はさらに色を増し、多くの人々に興味を与えることとなりました。

主な設置場所

草木塔は日本各地に存在しますが、特に山形県米沢市を中心に多くの設置場所があります。

• - 1780年（安永9年）: 山形県米沢市大字入田沢字塩地平
• - 1797年（寛政9年）: 山形県米沢市大字入田沢字白夫平
• - 1816年（文化13年）: 山形県東置賜郡川西町大字大舟字大舟上
• - 1859年（安政6年）: 福島県喜多方市
• - 1863年（文久3年）: 岩手県和賀郡西和賀町
• - 1986年（昭和61年）: 山形県米沢市三沢公民館前
• - 1965年（昭和40年）: 東京都世田谷区桜上水2丁目、密蔵院
• - 北海道大津市: 比叡山延暦寺

草木塔は地域の歴史や文化を反映し、多くの人々に愛されてきました。これからも自然への感謝の象徴として、その意義を大切にしていきたいものです。

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