草津町 (広島県)

広島県佐伯郡草津町：歴史と変遷

草津町は、1889年に佐伯郡草津村として発足し、1909年に町制を施行。しかし、1929年に広島市に編入され、その姿を消しました。現在の広島市西区の一部として、その名は今も地域に残っています。

地理的特徴

草津町の旧域は、現在の草津と庚午の大部分を含みます。広島デルタの西側、太田川放水路の河口西に位置し、川を挟んで広島市、佐伯郡己斐町・古田村、井口村と接していました。埋め立てにより海岸線は当時と大きく異なっています。

地名の由来

草津という地名は古く、南北朝時代には「軍津（いくさつ）」と呼ばれていました。神功皇后が三韓出兵の際にこの地に布陣したという伝承に由来し、「久曾津」とも書かれました。

歴史

中世

中世の草津村は古江村を含み、厳島神社の社領でした。羽仁氏が草津城を拠点に支配し、後に大内氏、陶氏を経て毛利氏の支配下に入りました。毛利氏は児玉氏を水軍の将として草津に配置し、草津湊は水軍基地や物資の集積地、厳島への参拝拠点として発展しました。

近世

江戸時代、草津は広島城下の外港として機能し、浜田藩の船屋敷が置かれたこともありました。広島近郊の水産物の集散地として栄え、カキの養殖が盛んに行われました。また、遠浅の干潟では新開地の造成が積極的に進められました。

近代

1870年には庚午新開が造成され、草津村に編入されました。1909年に草津町となると、庚午は野菜の産地として、草津は水産物の加工・販売で発展しました。1922年には広島瓦斯電軌宮島線が開通し、1929年に広島市へ編入されました。

草津町の沿革

1889年：町村制施行により草津村と庚午新開が合併し、草津村が発足。
1909年：町制を施行し、草津町に改称。
1929年：広島市に編入され消滅。

大字

草津村には草津と庚午新開という大字がありました。

草津：現在の草津本町、浜町、東、南、梅が台に相当。
* 庚午新開：1870年に造成された新開地で、現在の庚午北、中、南に相当。

合併後の状況

広島市編入後、旧草津町域は広島市草津町となり、大字は広島市の大字として継承されました。その後、町名変更や再編を経て、現在の草津東、草津南、庚午北、庚午中、庚午南、草津梅が台、鈴が峰町などが形成されました。

草津町は、その歴史の中で様々な変遷を遂げましたが、その名は今も広島市西区の地域名として残り、往時の面影を伝えています。

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