草薙正夫

草薙正夫

草薙正夫（くさなぎ まさお、1900年9月20日 - 1997年8月1日）は、日本の哲学者であり、神奈川大学名誉教授として知られています。彼は、特にドイツの哲学者カール・ヤスパースの研究において、日本の哲学界に大きな足跡を残しました。

経歴

草薙正夫は1900年、香川県に生まれました。1928年に京都帝国大学文学部哲学科を卒業後、神奈川大学で教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。1950年12月には、武藤光朗、鈴木三郎、金子武蔵らと共にヤスパース協会創立のための準備会を開き、翌年2月23日、ヤスパースの誕生日に合わせて協会を発足させました。これは、日本の哲学界におけるヤスパース研究の推進に大きく貢献しました。

1960年には、國學院大學に学位論文「実存哲学の根本問題 ヤスパース研究」を提出し、文学博士の学位を取得。1971年に神奈川大学を定年退任し、名誉教授の称号を得ました。退任後も、神奈川県立外語短期大学学長を務めるなど、教育界への貢献を続けました。

研究内容・業績

草薙正夫の主な研究テーマは、カール・ヤスパースを中心とした実存哲学です。彼は、ヤスパースの哲学思想を日本に紹介し、その普及に大きく貢献しました。また、ヤスパースに限らず、多くの基礎となる哲学書を翻訳し、日本の哲学研究の発展に寄与しました。

彼の業績は、著作や翻訳書として数多く発表されています。著作としては、『実存哲学の根本問題：現代におけるヤスパース哲学の意義』や『ヤスパース』などがあり、ヤスパース哲学に関する深い洞察を示しています。また、翻訳書としては、シラーの『美と芸術の理論：カリアス書翰』や、ヤスパースの『ニーチェ』、『哲学入門』など、多岐にわたる哲学書を手掛け、日本の読者に広く紹介しました。

著作

『小獨逸語教典』成美堂書店 1936.5
『実存哲学の根本問題：現代におけるヤスパース哲学の意義』 創文社 1962
『ヤスパース』 牧書店〈世界思想家全書〉1965
『哲学序説』 理想社 1967
『ヤスパース哲学入門』 以文社 1973
『幽玄美の美学』 1973 塙書房〈塙新書〉

共編・共著

『社會思想史十講』社会思想研究會出版部 1948
『世界危機と現代思想』 山本新共編 理想社 1954
『戦後の思想と社会』〈創立三五周年記念論文集〉神奈川大学 1963.12

翻訳

シラー『美と芸術の理論：カリアス書翰』岩波文庫 1936
ヤスパァス 『ニイチェ 根本思想：ニイチェ哲学への入門』創元社 1943
ヤスパアス『理性と實存』創元社 1949
ヤスパアス『ニイチェ』創元社 1950
ヤスパアス『哲学十二講』 創元社 1951
ヴォリンゲル 『抽象と感情移入』岩波文庫 1953
ヤスパース『ニーチエの生活』新潮文庫 1954
ヤスパース『ニーチエの実存的意義』新潮文庫 1954
ヤスパース『哲学入門』新潮文庫 1954
ヤスパース『現代の精神的課題』新潮社〈一時間文庫 56〉1955
アルフレート・ウェーバー『文化社会学』 創文社 1958
『近代の文芸思想』河出書房新社 1963
カール・ヤスパース『哲学 第2 実存開明』創文社 1964
シュテーリヒ 『世界の思想史』白水社 1967
ヤスパース『哲学への道』以文社 1980.11
* ヤスパース『神の暗号　選集 37』理想社 1982.6

草薙正夫は、その生涯を通じて、哲学の研究と教育に情熱を注ぎ、日本の哲学界に多大な貢献をしました。彼の業績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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