荒屋遺跡

荒屋遺跡の概要と重要性

荒屋遺跡は、新潟県長岡市西川口に位置する旧石器時代の遺跡であり、2004年に国の史跡として指定されました。この遺跡は、信濃川の右岸にあり、魚野川との合流点近くに位置し、標高87メートルの段丘上にあります。この段丘は、更新世の最新期に形成されたもので、旧石器時代の終わり頃の生活の痕跡を示しています。

遺跡の発見と調査

荒屋遺跡は1957年に、星野芳郎と井口通泰によって発見され、その後芹沢長介の主導で1958年から4回にわたる発掘調査が行われました。芹沢は出土した石器に注目し、これが日本の細石刃文化の研究にとって重要な地点であると考えました。この調査により、多くの遺物が発見され、特に細石刃と呼ばれる石器が多く出土しました。

出土した遺物の詳細

この遺跡からは、総数10万点にも及ぶ石器が見つかり、その中には6,000点の細石刃や、1,000点の彫刻刀形石器、さらに9,000点の彫刻刀スポールが含まれています。ほとんどの石器は珪質頁岩で制作されており、この素材は特に東北地方の日本海側でしか産出されないため、荒屋遺跡周辺には存在しないことが分かります。これにより、本遺跡は原材料の産出地とは直接的な関係がないことが示されています。また、出土品に見られる炭化物の炭素14年代測定により、約14,000年前のものであると推定されています。

技法と石器の種類

発掘された細石刃の中には、湧別技法やホロカ技法と呼ばれる石器製作技法が確認されています。湧別技法は、両面加工された石器の長軸に沿って打撃を加え、細石刃を取り出す方法であり、ホロカ技法は舟底型に加工した細石刃核を使用します。特に荒屋遺跡の特徴的な遺物である彫刻刀形石器は、芹沢によって3種類に分類されたものの, 現在では全てを「荒屋型」と呼ぶことが一般的です。これらは、剥片の外周を急斜度で仕上げることで、独自の形態を持つことが特徴です。

文化的意義

彫刻刀形石器は、実際には骨や角、皮などの加工に用いられたことが分かっており、その使用頻度は他の石器と比べて高かったと考えられています。また、荒屋型彫刻刀は、東日本や北海道、さらにはサハリン、シベリア、アリューシャン列島、アラスカに至るまで広く分布していることから、この遺跡は細石刃文化の広がりを知る上で欠かせない存在となっています。

荒屋遺跡は、旧石器時代の人々の生活を探り、日本の考古学において重要な役割を果たしています。出土した数多くの遺物は、当時の技術や文化を理解する貴重な手がかりとなっており、今後の研究も期待されます。

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