荒川電車営業所
東京都荒川区西尾久に位置する荒川電車営業所は、東京都交通局が運営する都電（東京都電車）の主要拠点です。都電荒川線の運行管理や営業活動に加え、乗務員の基地、車両の車庫、さらには車両の保守・点検を担う荒川車両検修所を併設しており、都電荒川線の運営を支える重要な施設としての役割を果たしています。最寄りの停留場は荒川車庫前です。
荒川電車営業所の起源は、大正時代の1913年（大正2年）4月1日に、前身である王子電気軌道が三ノ輪から飛鳥山下（現在の梶原停留場付近）まで路線を開業した際に開設された「船方車庫」に遡ります。その後、1942年（昭和17年）2月1日、東京市内の路面交通事業統合に伴い東京市電気局荒川電車営業所となり、翌1943年（昭和18年）7月1日には都制施行により東京都交通局の組織の一部となりました。
車両のメンテナンス体制強化のため、1971年（昭和46年）7月には電車車両工場から一部機能が移管され、志村車両工場の整備係として定期検査を行う部署となりました。組織改編を経て、1981年（昭和56年）4月1日には荒川電車営業所が「荒川車両検修所」と改称されました。施設の老朽化に対応するため、王子電気軌道時代からの車両棟建屋は1983年（昭和58年）8月に建て替えが完了し、1984年（昭和59年）にはその隣に保守庁舎が建設されました。
2000年代に入ると、業務効率化のため外部委託が進められました。2001年（平成13年）4月1日には重要部検査や全般検査などの修車業務が、2006年（平成18年）4月1日には夜間の検車業務が、そして2010年（平成22年）4月1日には列車検査や月検査といった日常的な検査業務も、協力会社である東京交通サービスに委託され、大半の検査業務が外部委託体制となりました。
荒川車両検修所は、都電車両だけでなく、過去に上野動物園内を運行していた東京都交通局上野懸垂線（上野モノレール）の車両検査（列車検査、月検査、重要部検査、全般検査）の管理業務も担っていました。上野モノレールは2019年（令和元年）11月から運行休止となり、2023年（令和5年）12月末に廃止されましたが、それまで荒川車両検修所がその検査を管理していました。
荒川車両検修所の構内は、効率的な車両の保守・管理ができるように配置されています。主な業務内容には、車両の定期的な点検（列車検査、月検査、重要部検査、全般検査）や臨時検査、故障対応、清掃などがあります。構内での車両の移動（入換作業）や、先述した各種検査業務は、協力会社の東京交通サービスに委託されていますが、実際の作業はさらに宮脇車輌工業が担い、東京交通サービスが管理監督を行っています。
構内には南北方向に多数の線路が並んでおり、車両の移動は「トラバーサー」と呼ばれる装置によって行われます。車両棟の内部にある線路はピット構造になっており、車両の下部点検を容易にしています。具体的には、構内には車両を留置する留置線（1～6番線）、車両を洗浄する洗浄線、検査・修繕を行う修繕線や検査線、車両の出入りに使う入庫線・出庫線、月検査専用の月検線など、それぞれの機能に特化した線路が配置されています。
敷地内には、都電の歴史を伝える「都電おもいで広場」があり、一般向けに公開されています。この広場は、2007年（平成19年）5月26日に新型車両9000形のデビュー記念イベントに合わせて開設されました。現在は土・日・祝日の午前10時から午後4時まで開放されており、都電の貴重な保存車両を見学できます。
展示車両: 広場には、特に歴史的な価値の高い車両が展示されています。
5500形 5501号: 「PCCカー」として知られるこの車両は、1967年（昭和42年）に廃車後、上野公園での保存を経て1991年（平成3年）に荒川車庫へ移されました。修復作業の後、2007年（平成19年）からこの広場で展示されています。車内はギャラリーとして活用されており、座席は撤去され、片方の運転台のみが登場時の足踏みペダル式に復元されています。
* 7500形 7504号: 1998年（平成10年）まで「学園号」として活躍した車両です。廃車後、一時は車庫内で倉庫として使われていましたが、2006年（平成18年）のイベントで修復され、その後この広場での保存が決定しました。
荒川電車営業所では、毎年6月の「路面電車の日」と10月の「荒川線の日」に、営業所内の公開イベントが恒例として行われています。これらの機会には、普段見られない車両や施設の一部を見学することができます。車庫内には、都電荒川線のワンマン化に伴い廃車となった6000形6086号が保管されており、イベント時に公開されることがあります。この車両は、かつて個人宅で保存されていましたが、2008年（平成20年）に荒川車庫へ戻され、整備されました。
一方、かつて車庫に保管されていたワンマン改造前の7500形7514号は、1999年（平成11年）に整備された上で、江戸東京たてもの園へ移されました。
荒川電車営業所は、ドラマやミュージックビデオのロケーションとしても利用された実績があります。1977年（昭和52年）に放送されたNHKドラマ『男たちの旅路 シルバーシート』では、7500形7514号と共に営業所が使用されました。また、2004年（平成16年）に発表されたモーニング娘。の楽曲「女子かしまし物語」のPV撮影でも利用され、この際には7500形7507号が登場しています。これらのエピソードは、営業所が都電の顔として、メディアにも登場する機会があったことを示しています。
歴史的変遷
荒川電車営業所の起源は、大正時代の1913年（大正2年）4月1日に、前身である王子電気軌道が三ノ輪から飛鳥山下（現在の梶原停留場付近）まで路線を開業した際に開設された「船方車庫」に遡ります。その後、1942年（昭和17年）2月1日、東京市内の路面交通事業統合に伴い東京市電気局荒川電車営業所となり、翌1943年（昭和18年）7月1日には都制施行により東京都交通局の組織の一部となりました。
車両のメンテナンス体制強化のため、1971年（昭和46年）7月には電車車両工場から一部機能が移管され、志村車両工場の整備係として定期検査を行う部署となりました。組織改編を経て、1981年（昭和56年）4月1日には荒川電車営業所が「荒川車両検修所」と改称されました。施設の老朽化に対応するため、王子電気軌道時代からの車両棟建屋は1983年（昭和58年）8月に建て替えが完了し、1984年（昭和59年）にはその隣に保守庁舎が建設されました。
2000年代に入ると、業務効率化のため外部委託が進められました。2001年（平成13年）4月1日には重要部検査や全般検査などの修車業務が、2006年（平成18年）4月1日には夜間の検車業務が、そして2010年（平成22年）4月1日には列車検査や月検査といった日常的な検査業務も、協力会社である東京交通サービスに委託され、大半の検査業務が外部委託体制となりました。
上野モノレールの検査管理
荒川車両検修所は、都電車両だけでなく、過去に上野動物園内を運行していた東京都交通局上野懸垂線（上野モノレール）の車両検査（列車検査、月検査、重要部検査、全般検査）の管理業務も担っていました。上野モノレールは2019年（令和元年）11月から運行休止となり、2023年（令和5年）12月末に廃止されましたが、それまで荒川車両検修所がその検査を管理していました。
構内の機能
荒川車両検修所の構内は、効率的な車両の保守・管理ができるように配置されています。主な業務内容には、車両の定期的な点検（列車検査、月検査、重要部検査、全般検査）や臨時検査、故障対応、清掃などがあります。構内での車両の移動（入換作業）や、先述した各種検査業務は、協力会社の東京交通サービスに委託されていますが、実際の作業はさらに宮脇車輌工業が担い、東京交通サービスが管理監督を行っています。
構内には南北方向に多数の線路が並んでおり、車両の移動は「トラバーサー」と呼ばれる装置によって行われます。車両棟の内部にある線路はピット構造になっており、車両の下部点検を容易にしています。具体的には、構内には車両を留置する留置線（1～6番線）、車両を洗浄する洗浄線、検査・修繕を行う修繕線や検査線、車両の出入りに使う入庫線・出庫線、月検査専用の月検線など、それぞれの機能に特化した線路が配置されています。
都電おもいで広場
敷地内には、都電の歴史を伝える「都電おもいで広場」があり、一般向けに公開されています。この広場は、2007年（平成19年）5月26日に新型車両9000形のデビュー記念イベントに合わせて開設されました。現在は土・日・祝日の午前10時から午後4時まで開放されており、都電の貴重な保存車両を見学できます。
展示車両: 広場には、特に歴史的な価値の高い車両が展示されています。
5500形 5501号: 「PCCカー」として知られるこの車両は、1967年（昭和42年）に廃車後、上野公園での保存を経て1991年（平成3年）に荒川車庫へ移されました。修復作業の後、2007年（平成19年）からこの広場で展示されています。車内はギャラリーとして活用されており、座席は撤去され、片方の運転台のみが登場時の足踏みペダル式に復元されています。
* 7500形 7504号: 1998年（平成10年）まで「学園号」として活躍した車両です。廃車後、一時は車庫内で倉庫として使われていましたが、2006年（平成18年）のイベントで修復され、その後この広場での保存が決定しました。
恒例イベントとその他の保存車両
荒川電車営業所では、毎年6月の「路面電車の日」と10月の「荒川線の日」に、営業所内の公開イベントが恒例として行われています。これらの機会には、普段見られない車両や施設の一部を見学することができます。車庫内には、都電荒川線のワンマン化に伴い廃車となった6000形6086号が保管されており、イベント時に公開されることがあります。この車両は、かつて個人宅で保存されていましたが、2008年（平成20年）に荒川車庫へ戻され、整備されました。
一方、かつて車庫に保管されていたワンマン改造前の7500形7514号は、1999年（平成11年）に整備された上で、江戸東京たてもの園へ移されました。
メディアでの使用例
荒川電車営業所は、ドラマやミュージックビデオのロケーションとしても利用された実績があります。1977年（昭和52年）に放送されたNHKドラマ『男たちの旅路 シルバーシート』では、7500形7514号と共に営業所が使用されました。また、2004年（平成16年）に発表されたモーニング娘。の楽曲「女子かしまし物語」のPV撮影でも利用され、この際には7500形7507号が登場しています。これらのエピソードは、営業所が都電の顔として、メディアにも登場する機会があったことを示しています。
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