荒巻靖彦(あらまき やすひこ)
荒巻靖彦は、
1964年生まれの日本の
政治活動家で、飲食業を営んでいます。彼は、街頭での大衆運動や
インターネットを利用した情報発信を通じて、リベラル・左派陣営や
在日韓国・朝鮮人などへの糾弾を行う、いわゆる「
行動する保守」に分類される右派系
市民活動家の一人として知られています。
活動初期
2000年代後半から関西地方を中心に活動を始め、「
在日特権を許さない市民の会」(在特会)、「
主権回復を目指す会」(主権会)、「
チーム関西」などの右派系
市民団体に所属し、排外的な主張を掲げていました。主権会では関西支部事務局長を、
チーム関西では代表を務め、関西の
行動する保守勢力における中心人物の一人として「関西四天王」と称されました。
街宣やデモの場では、敵対者に対して激しい怒声や罵声を浴びせかけるなど、戦闘的な態度を取ることが多く、活動時の言動に対する法的責任を問われることもありました。
京都[[朝鮮学校公園占用抗議事件]]、
徳島県教組業務妨害事件、
ロート製薬強要事件の3つの事件で
逮捕・
起訴され、いずれも有罪判決を受けました。
2012年5月にロート事件で
逮捕されてからは長期間
勾留され、活動の第一線を離れました。
2013年5月に同事件での
実刑判決が確定し、京都・徳島両事件での
執行猶予取消分も含めて
懲役刑に服し、
2015年10月に出所後、政治活動を再開しました。
選挙への挑戦
2020年
1月には
対馬市長選挙への立候補を表明しましたが、現職に敗れて落選しました。2023年
2月には
大阪市長選挙への立候補を表明しましたが、こちらも落選に終わっています。2024年3月にも
対馬市長選挙に立候補しましたが、再び現職に敗れています。
生い立ちと政治活動への道
理髪店を営む両親のもとに生まれた荒巻は、高校卒業までを
大阪府門真市で過ごしました。
在日韓国・朝鮮人が多く暮らす環境で、彼らに対して悪い印象を持つようになったといいます。旧
日本軍を崇拝する右派的な父親からの厳格な教育に反発し、高校時代にはアナーキー系パンクバンドで活動、父親との関係が悪化した時期もありました。
高校卒業後はミュージシャンを目指して上京しましたが挫折し、帰阪後は
飲食店などで働きました。
2003年からは中国・上海で
日本人駐在員向けのラウンジを経営しましたが、中国警察からの理不尽な仕打ちや
反日暴動を経験したことから、
ナショナリズムに傾倒していきました。
2006年頃に帰国後、
小林よしのりの著作や
産経新聞などを読み漁り、右派的な思想を身につけました。大阪・
北新地でラウンジ「BLACK brick」を経営する中で、店を訪れる客に対して在日認定を行い、嫌悪感を募らせるようになったといいます。
キャリア初期
政治活動の初期には、
2008年2月に「主権会・関西」を立ち上げ、在特会の関西支部長も兼任していた
増木重夫の下で活動しました。
2009年には、河野談話の撤回を求める
署名運動に同行し、
不法滞在者の即時送還を求める申入書に名を連ねるなど、中谷辰一郎や
西村斉と共に街頭活動を行いました。同年
10月には主権会関西支部の事務局長に就任し、川東大了や
西村斉らと共に「
チーム関西」を結成、初代代表に就任しました。
京都事件
2009年1[[2月]]、京都朝鮮第一初級学校への抗議活動を計画し、在特会・主権会・
チーム関西のメンバーと共に学校へ押しかけ、「ろくでなしの
朝鮮学校を日本から叩き出せ」などと怒号を上げ、
公園内の朝礼台を門扉に打ちつけるなどの行為に及びました。この事件で、荒巻は
執行猶予付きの有罪判決を受けました。
徳島事件
2010年4月、徳島県教職員組合への抗議活動に参加。徳島県教育会館内の組合事務所に乱入し、「朝鮮の犬」「
募金詐欺」などと怒号を上げ、組合員の業務を妨害しました。この事件後、荒巻は主権会から除名処分を受けています。
ロート事件
2012年2月、
ロート製薬が新製品のCMに韓国人女優
キム・テヒを起用したことに対し、
西村斉らと共に
ロート製薬本社を訪問し、社員を脅迫するなどの行為に及びました。この事件で強要容疑で
逮捕され、
懲役1年6月の
実刑判決を受けました。
服役後
出所後、桜井誠が率いる
日本第一党に加わり活動を再開しましたが、2020年1
1月にC.R.A.C.メンバーとのトラブルで
逮捕され、
日本第一党から除名されました。
人物像
右派系
市民活動家の中でも戦闘的・攻撃的な人物として知られており、街宣中に老婆を追い回すなどの行為も見られました。一方で、活動家仲間からは「兄貴分」として慕われることもあり、
ジャーナリストの取材には丁重な態度で応じるなど、活動時の言動とは異なる一面も持っています。
参考文献
安田浩一『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』講談社、2012年
関連項目
在日特権を許さない市民の会
主権回復を目指す会
チーム関西
川東大了
桜井誠
西村斉
増木重夫
ヘイトクライム
ヘイトスピーチ