荒手茶寮

荒手茶寮について

岡山県岡山市北区後楽園に位置する荒手茶寮（あらてさりょう）は、懐石料理店として知られ、特に迎賓館としての利用がされています。この店舗は、岡山市の戦災の遺構に指定されており、歴史的な意味合いを持つ場所です。

歴史の流れ

荒手茶寮の創業は昭和8年（1933年）にさかのぼります。当初は岡山市内の旭川近く、古京町に所在していた荒手屋敷で始まりました。この屋敷は岡山藩家老の伊木家の茶室や庭園などがあったことでも知られています。この茶屋の創業者は堀江文一（後の大塚文一）で、彼は宮内省の大膳職に従事していた人物です。

しかし、昭和9年（1934年）には室戸台風による水害の影響で移転が決定され、昭和13年（1948年）には後楽園外苑にあった民有地を購入し、荒手屋敷を移築しました。この移築作業によって、歴史的な価値を持つ屋敷の風貌は保たれることとなったのです。

さらに、昭和20年（1945年）6月29日に発生した岡山大空襲によって後楽園内にあった延養亭や鶴鳴館と共に焼失してしまいました。しかし、資料を基にして再建され、その過程で灯篭や建具などの一部は焼失を免れ、現在も存在しています。このように歴史的な経緯を持つ荒手茶寮は、岡山市の文化遺産の一部として継承されています。

現在の荒手茶寮

荒手茶寮は、料理を楽しむ場所のみならず、歴史的な価値も兼ね備えた特別な存在です。平成19年（2007年）には岡山市によって空襲に関する説明板が設置され、訪れる人々にこの場所の歴史を知る機会が与えられています。これは、戦争の記憶を風化させないための重要な取り組みの一つと言えるでしょう。

また、荒手茶寮は特別なイベントや迎賓館としても利用されており、岡山県内での様々な行事にも対応しています。特に、懐石料理を心ゆくまで堪能できる環境が整えられており、訪れる人々には食事を通じて日本の伝統文化に触れる貴重な体験を提供しています。

関連情報

荒手茶寮に関する情報は、公益社団法人おかやま観光コンベンション協会が発行している『おかやま散歩』などの資料で確認することができます。また、岡山家具指物聯合会が主催したイベントや、旧荒手屋敷に関する出品目録も興味深い関連情報として知られています。

荒手茶寮は、歴史的な背景を持ちつつ、現代の生活の一部として融合している貴重な文化遺産です。訪れる価値のある場所として、多くの人々に愛され続けることでしょう。

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