荒木十畝

荒木 十畝（あらき じっぽ）

荒木十畝は、日本の伝統的な日本画の分野で著名な画家であり、長崎県大村市に1872年に生まれました。本名は朝長悌二郎で、旧大村藩士の家に生まれました。初期の頃は郷里で「琴湖」と名乗り、絵を描く活動を行っていましたが、1892年に上京し、荒木寛畝の弟子となることで本格的な画家としての道を歩み始めました。

生涯と業績

彼は1893年に養子となり、画号を十畝に改めました。画家としてのキャリアは順調に進み、1895年には日本美術協会の会員に加わります。その後、1897年には日本画会を創立し、幹事としてを務めました。1901年には東京女子高等師範学校で講師として活動し、1903年には第5回内国勧業博覧会で褒状を受けるなど、多方面でその実力を示しました。

1904年にはセントルイス万国博覧会で銀牌を受賞し、ますます名声を高めます。翌1905年には画塾の「読画会」を設立し、その運営に力を注ぎました。1907年には文展の設立時に新派に対抗する形で正派同志会を結成し、幹事長を務めました。文展では彼の存在感が際立ち、官展の重鎮として活動し続けます。

その後も彼の名声は高まり、1910年の日英博覧会では金牌を受賞し、1919年には女子高師の教授職を辞しました。1922年には日華連合絵画展を開催し、1923年には帝国美術院の会員に任命され、正五位勲四等に叙されました。1931年にはシャムで日本美術展を開き、1937年に帝国芸術院の会員に選ばれます。

晩年には画室を大磯に、さらに箱根仙石原に移しますが、1944年に心臓麻痺により73歳で急逝しました。彼の法名は開悟院殿十畝日顕居士です。彼の墓所は新宿区の浄輪寺にあり、後に多磨霊園に改葬されています。

作品とスタイル

荒木十畝は特に花鳥画が得意であり、同時代に活躍した仲間である横山大観と並び称される存在です。彼は旧派の代表的な画家として知られていますが、伝統的な技法に基づきつつも新たな表現を模索する姿勢を保ち続けました。そのため、彼の作品は時代を超えて高く評価されています。

彼には多くの弟子がいて、西沢笛畝、森白甫、永田春水、亀割隆志、木本大果、松久休光、そして小林観爾や湯原柳畝など、多くの優れた画家が育成されました。

主な著作と画集

荒木十畝の作品は画集としても多くの人に親しまれています。1926年には『十畝画選』を、1938年には『十畝作品集』を出版し、1963年には荒木いとが編纂した『十畝画選』が出ています。また、彼の著作も数多く、1919年には『花鳥画の描方』を、1935年には『新南画講座』を、1942年には『東洋画論』を出版しています。

親族

彼の長男である荒木光太郎は経済学者としても知られています。

荒木十畝は日本の美術史において重要な人物であり、その影響は今も続いています。

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