荻野山中藩

荻野山中藩について

荻野山中藩（おぎのやまなかはん）は、相模国愛甲郡、現在の神奈川県厚木市中荻野に置かれていた藩であり、藩庁は荻野山中陣屋に設置されていました。この藩は小[[田原[[藩]]]]の大久保家の支藩として、1783年に設立されました。藩は駿河国松長藩主・大久保教翅により設立されたもので、陣屋の移転が主な出来事でした。

荻野山中藩は設立当初より藩財政の厳しい状況に直面していました。そのため、藩主の教翅は「養蚕要略」を発表し、養蚕業の振興を試みましたが、成果は見られませんでした。藩の財政問題は深刻化する一方でした。

さらに、1867年の秋から冬にかけて、関東地方では勤王を名目とした強盗行為が蔓延しました。この事件では、薩摩[[藩]]士を中心とした倒幕派浪士による襲撃が荻野山中藩にも及び、特に12月15日には陣屋が焼き討ちされ、多くの被害者が出る事態となりました。

この焼き討ちでは、現場で3名が即死し、その後、深手を負った代官の1名が3日後に死亡しました。襲撃者たちはその後も厚木川入村へ押し入るなど、藩内に大きな衝撃を与えました。

陣屋は焼失しましたが、その名残として市内の王子福伝寺には陣屋裏門とされる遺構が残っています。現在では、跡地にはいくつかの石灯籠や稲荷神社があるのみです。

明治元年（1868年）、徳川家達の駿府入部に伴い、藩は相模国愛甲郡内の旧幕府領を与えられて領地が集中しました。明治2年には、最後の藩主である教義が知藩事として地位を再編しました。

そして、明治4年（1871年）に廃[[藩置県]]が実施された結果、荻野山中藩はその名を消し去り、荻野山中県が設置されましたが、同年の11月には足柄県に統合、最終的には明治9年（1876年）に神奈川県に編入されました。

また、厚木市荻野新宿の交差点近くには、参勤交代で使用された道の跡が残されており、その歴史を語る石碑が設置されています。

歴代藩主

荻野山中藩は大久保家の譜代藩主によって運営されました。藩主は1万3000石の知行を有し、以下の3代にわたって統治されました。

• - 教翅（のりのぶ）：従五位下 中務大輔
• - 教孝（のりたか）：従五位下 出雲守
• - 教義（のりよし）：従五位下 中務大輔

幕末の領地

荻野山中藩の領域は、相模国を中心に、駿河国と伊豆国のいくつかの地域にも及んでいました。その領土は次のように分かれていました：

• - 相模国

- 高座郡のうち - 1村
- 足柄上郡のうち - 1村
- 愛甲郡のうち - 23村

• - 駿河国

- 駿東郡のうち - 8村（静岡[[藩]]に編入）
- 富士郡のうち - 4村（同上）

• - 伊豆国

- 君沢郡のうち - 14村（韮山県に編入）
- 田方郡のうち - 14村（同上）
- 賀茂郡のうち - 5村（同上）

相模国に関しては、他の地域からの領地替えも含まれていたと考えられています。荻野山中藩の歴史は、地域の動乱や藩の財政状況を反映したものであり、重要な地域史の一部を成しています。

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