菅原梶成

菅原梶成（すがわら の かじなり）

菅原梶成は、平安時代前期に活躍した医師です。生年は不明ですが、仁寿3年（853年）に亡くなっています。最終的な官位は外従五位下・侍医です。

生涯

菅原梶成は、平安京右京を本貫とします。承和元年（834年）に同族の菅原梶吉とともに、宿禰姓から朝臣姓に改姓しました。この時、梶成は医術に長けていたことから、朝廷の命により遣唐使の随行者として唐へ渡ることになります。彼の任務は、医術上の不明点を解決することでした。

承和5年（838年）、梶成は遣唐使の一員として唐へ渡ります。翌承和6年（839年）に帰国の途につきますが、その航海中に暴風に遭遇し、南海に漂流してしまいます。見知らぬ島に漂着した梶成は、同行者全員の無事を仏神に祈願し、遣唐准判官の良岑長松と協力して、破損した船の材木を集め、新たな船を造り上げました。梶成は第二船に乗り込み、承和7年（840年）4月に大隅国に帰着を果たしました。

また、南海の島で現地の人々と戦った際に、捕獲した5尺鉾1枚、片盖鞘横佩（太刀）1柄、箭1隻を朝廷に献上しています。この献上からも、彼の行動力と状況判断能力の高さが伺えます。

帰国後の承和10年（843年）には、鍼博士に任ぜられ、その後、侍医として宮廷に仕えました。文徳天皇の時代である仁寿3年（853年）正月には外従五位下に叙せられますが、同年6月2日に亡くなりました。彼の最終官位は侍医外従五位下でした。

人物

菅原梶成は、医術に非常に長けており、彼の治療効果は非常に高かったと伝えられています。当時の医療において、彼の貢献は大きかったと考えられます。

官歴

菅原梶成の官歴は以下の通りです。

時期不詳：大初位下
承和元年（834年）正月26日：宿禰姓から朝臣姓に改姓
承和元年（834年）日付不詳：遣唐知乗船事
承和7年（840年）6月5日：見正六位上
承和10年（843年）日付不詳：鍼博士
時期不詳：侍医
仁寿3年（853年）正月：外従五位下
仁寿3年（853年）6月2日：卒去（侍医外従五位下）

まとめ

菅原梶成は、平安時代前期の医師として、その医術の腕前と、遣唐使としての経験、そして不屈の精神が特筆されます。遭難からの生還、鍼博士や侍医としての活躍は、彼の能力と人間性を表しています。その生涯は、当時の医療や社会情勢を知る上で重要な資料となります。

参考文献

森田悌『続日本後紀 （上）』講談社学術文庫、2010年。

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