菊池直恵

菊池直恵は、1974年1月生まれ、千葉県出身の日本の漫画家です。彼女は、漫画家である星里もちるのアシスタントを経て、1997年に『ビッグコミックスピリッツ』掲載の『ポチ』で漫画家デビューを果たしました。この作品は、同誌のスピリッツ賞佳作を受賞しています。

デビュー後しばらくは作品発表が途絶えていましたが、2001年より『スピリッツ増刊IKKI』（後に『月刊IKKI』にリニューアル）にて、実録漫画『鉄子の旅』の連載を開始。この作品は、彼女自身が鉄道旅行をする様子を描いたもので、鉄道ファンを中心に大きな話題となりました。2006年まで連載され、全48話で終了しています。

『鉄子の旅』で共に旅をした酒井順子は、菊池のことを「荒川静香似の美人」と評しており、鉄道関係の仕事を5年間続けたことで、鉄道に関する豊富な知識を持つようになったと言われています。タブレット閉塞の説明ができるほどになった彼女は、今では「鉄道に興味がない」と言っても、誰も信じてくれないほどです。

しかし、菊池自身は『鉄子の旅』連載以前から、旅の移動手段として鉄道を最も利用していました。その理由として、方向音痴でも鉄道に乗っていれば目的地に着くからだと語っています。また、初期の短編作品『行徳駅下車』は、駅や電車が頻繁に登場する作品です。

2007年には、NRE（日本レストランエンタプライズ）の「鉄子の旅駅弁」をプロデュース。さらに、経営危機にあった銚子電鉄の車両の塗色を提案し、2008年に新塗色車両がお披露目されました。2011年には、「鉄子の旅」カラーの運行が終了。最終日には犬吠駅でイベントが開催され、菊池本人も出席しました。この際、銚子電鉄から感謝状が贈呈され、菊池からは運行開始時とラストランのヘッドマークのイラストが手渡されています。

『鉄子の旅』終了後は、吹奏楽経験を活かし、吹奏楽関連の漫画なども発表していましたが、2017年の『あな』以降、作風が一変。師である星里もちるにも通じる、内向的で救いのない人間描写を前面に出すようになりました。

彼女の作品には、以下のようなものがあります。

ポチ（1997年、読み切り）
少年（1998年、読み切り）
行徳駅下車（1998年、全3話）
杏日和（1998年、読み切り）
手のひらの上（1998年、全5話）
鉄子の旅／鉄子の旅プラス（2001年 - 2006年・2007年、全48話）
冬の一番寒い日（2002年、読み切り）
キモチノカセキ（2002年、読み切り）
血液型4コママンガ（2004年、読み切り）
ピジョン（2009年、読み切り）
自転車に乗って（2010年、読み切り）
その先の少年（2010年、全2話）
熊の木本線（2010年、筒井康隆原作）
吹奏楽部あるある（2012年、イラスト担当）
みんなのあるある吹奏楽部 ARUARU ACADEMY（2013年、漫画担当）
みんなのあるある吹奏楽部ゴールド（2014年、漫画担当）
行徳駅下車〜菊池直恵初期作品集（2015年）
吹部ノート 全日本吹奏楽コンクールへと綴られた想いひたむきな高校生の成長を追いかける（2015年、イラスト担当）
ある吹部での出来事　もしも楽器が吹奏楽部員だったら！？（2016年、監修・コラム執筆）
鉄子の旅　菊池直恵セレクション（2017年）
あな（2017年、読み切り）
堕ちる（2018年、全3巻）
足掻く（2020年、全16巻）

また、菊池直恵と関連する人物として、以下のような方がいます。

横見浩彦：『鉄子の旅』で旅の案内人を務めた人物
* 富坂晶：アニメ『鉄子の旅』で菊池役を担当した声優

菊池直恵は、鉄道愛と人間観察眼を併せ持つ、独特な魅力を持った漫画家と言えるでしょう。

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