菊豆

映画『菊豆（チュイトウ）』

『菊豆（チュイトウ）』（原題：菊豆）は、1990年に製作された中国と日本の合作映画です。監督は、中国の巨匠チャン・イーモウ、主演はコン・リーが務めました。原作は、劉恒による同名小説です。

概要

本作は、一人の女性の運命を軸に、20世紀初頭の中国における因習、エロス、そして因果応報といったテーマを描いた物語です。原作では農家が舞台でしたが、映画では映像的な効果を狙い、染物屋に変更されました。さらに、実際には存在しない大規模な染物機械が登場し、独特の世界観を醸し出しています。撮影は、中国安徽省黄山市黟県で行われました。

作品は、第63回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、第43回カンヌ国際映画祭ではルイス・ブニュエル賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けています。2024年にはHDレストア版が上映され、その映像美が再び注目を集めました。

あらすじ

1920年代の中国。年老いた染物屋の主人、楊金山（ヤン・チンシャン）は、大金を積んで若い女性、菊豆（チュイトウ）を妻に迎えます。しかし、金山は過去に二人の妻を虐待で死なせており、サディスティックな性格の持ち主でした。子を成す能力がない金山は、その怒りを菊豆に向け、日々激しい暴力を振るい続けます。

金山の甥である天青（ティエンチン）は、菊豆に同情し、彼女もまた天青に惹かれていきます。入浴を覗き見られたことから、互いの想いを確信した二人は、やがて禁断の関係に陥ります。菊豆は天青の子を身ごもり、「天白（ティエンパイ）」と名付けられた男の子が生まれます。天白は金山の子として育てられますが、その事実は二人の関係に影を落としていきます。

ある日、脳卒中で体が不自由になった金山に対し、菊豆は復讐心から天白が自分の子ではないと告白します。裏切りを知った金山は激怒するものの、次第に天白に愛情を抱くようになります。しかし、その矢先、金山は天白と遊んでいる最中に誤って染料の池に落ち、溺死してしまいます。皮肉にも、それまで一度も笑ったことのなかった天白は、金山の死にゆく姿を見て、初めて笑顔を見せます。

金山の死後、菊豆と天青は事実上の夫婦として天白を育てますが、成長した天白は真実を知り、実の父親である天青を憎み殺害してしまいます。全てを失った菊豆は、錯乱のあまり自ら家に火を放ち、燃え盛る炎の中で立ち尽くすのでした。この悲劇的な結末は、観る者の心に深い衝撃を与えます。

キャスト

菊豆（チュイトウ）：鞏俐（コン・リー） （吹替：小山茉美）
楊天青（ヤン・ティエンチン）：李保田（リー・パオティエン） （吹替：富山敬）
楊金山（ヤン・チンシャン）：李緯（リー・ウェイ）
楊天白（ヤン・ティエンパイ）〔子役〕：張毅（チャン・イー）
楊天白（ヤン・ティエンパイ）〔少年〕：鄭建（チェン・チエン）

スタッフ

監督：張芸謀（チャン・イーモウ）、楊鳳良（ヤン・フォンリャン）
原作：劉恒（リウ・ホン）『菊豆（チュイトウ）』
脚本：劉恒（リウ・ホン）
撮影：顧長衛（クー・チャンウェイ）、楊輪（ヤン・ルン）
美術：曹久平（ツアオ・チウピン）、夏儒今（シァ・ルージン）
録音：李嵐華（リー・ランホワ）
編集：杜媛 （トー・ユアン）
音楽：趙季平（チャオ・チーピン）
製作総指揮：徳間康快、張文澤、胡健
製作：森繁、加藤博之、趙漢皐

日本語版

初回放送：1992年9月5日 テレビ朝日「ウィークエンドシアター」
制作：ザック・プロモーション

外部リンク

菊豆（チュイトウ） - allcinema
菊豆 - KINENOTE
Ju Dou - オールムービー（英語）
* Ju Dou - IMDb（英語）

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