華鬘

華鬘（けまん）とは

華鬘（けまん）は、仏堂を荘厳（しょうごん）するための仏具の一つです。花鬘、花縵とも書きます。サンスクリット語の「クスマ・マーラー（kusamamala）」を漢字で音写したもので、元々は花で作られた輪状の装身具でした。

起源と変化

華鬘の起源は、生花で作られたリング状の環（花環）です。これは、もともと僧侶などの装身具として用いられていました。僧侶は出家しているため、自ら身を飾ることはできません。そのため、布施された花環が仏堂を飾るものへと変化したと考えられています。そして、恒常的に仏堂を飾るものとして、中国や日本では金属（金銅）製、木製、皮製などの華鬘が作られるようになりました。インドでも様々な素材で作られていたようです。

形状と装飾

華鬘の形状は、主に団扇型をしており、上部に紐を通して吊り下げるための環がついています。表面には、宝相華文や蓮華文などの模様が施されているほか、迦陵頻伽（かりょうびんが）や種子（しゅじ）などが描かれることもあります。また、装飾として揚巻結（あげまきむすび）が付いているものもあります。

主な作品

平安時代の代表的な華鬘として、以下のようなものが挙げられます。

迦陵頻伽文牛皮華鬘（かりょうびんがもんぎゅうひけまん）：京都・東寺に伝わるもので、現在は奈良国立博物館に所蔵されています。牛革を素材とし、迦陵頻伽の文様が透かし彫りされています。
金銅宝相華文透彫華鬘（こんどうほうそうげもんすかしぼりけまん）：岩手県の中尊寺金色堂にあります。金銅で作られ、宝相華文が透かし彫りされています。

その他の情報

華鬘は、仏教美術において重要な役割を果たしています。その美しい装飾は、仏堂を荘厳し、人々の心を惹きつけます。

参考文献

『日本の美術』　542号（2011年7月号）　幡と華鬘　（独）国立文化財機構／監修

関連項目

ケマンソウ（華鬘草）
華鬘結び：装飾用の結び方

外部リンク

e国宝：牛皮華鬘
鶴岡八幡宮の華鬘
密蔵院の華鬘
木造 彩色菊牡丹透華鬘
華鬘師と泥亀『教訓お伽噺』中谷無涯著 (至誠堂, 1910)
* 国宝・牛皮華鬘

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